RIKEN ECO HILIGHT 2009

山形豊チームリーダー

イノベーション推進センター
VCADシステム研究プログラム 加工応用チーム

山形豊チームリーダー

1993年に東京大学大学院にて博士(工学)の学位を取得し、1997年まで(財)神奈川科学技術アカデミーにて研究員、同年より理化学研究所にて研究員、2002年より同先任研究員となる。研究分野は、メカトロニクス、超精密機構制御から微細機械加工技術、バイオ分析機器まで多岐にわたっている。

科学を志す若い世代へのメッセージ

―研究を進める上で重要なことは何でしょうか?

 ある現象に興味を持ったならば、まず、自分で手を動かしてモノを作り、確かめてみること、だと思います。実験についてもそうです。仮説通りにうまくいけば面白い。でも、想定したことと違う結果や未知の現象に出会えることはもっと面白いですね。
  ESDの装置の原型は以前、理研に在籍していたロシア人研究者による手作りの装置です。1998年に完成しました。部品などは市販のものを使って20万円くらいで作ったと聞いています。その後、私たちは様々な分野の人と協業ながら、ESD装置を進化させ、2004年にES-1000を発表しました。納品先のメーカーや研究機関、大学などで活躍しています。

―研究でうまくいかない時に、どう対応しますか?

 私は個人的にアマチュア無線を自作するなど、子供のころから、機械いじりが好きでした。せっかく作ったけれど、動かない装置も一杯作ってしまいました。でも、そうした失敗経験はムダになりません。
 学生の中には、実験をして失敗してしまうと、その結果を無駄だとして捨ててしまう人がいます。でも捨ててしまわずに、それはそれで立派な結果ですから、記録など形に残しておくように伝えています。学校での実験は、教科書に書かれている通りの作業を行うので、必ず成功するようにあらかじめ仕組まれています。それだけでは新しいものができない。世の中でまだ存在していない最先端の領域を切り開く場合には、教科書に無いものを作らないといけないので、失敗は日常茶飯事です。
  一方で研究においては、時間の制約があります。限られた時間の中で、どういう方法が良いのか考えることも、研究者としては必要な力です。時間のある若いうちは、失敗を恐れず、できるだけ多くの体験を積み重ねて欲しいと思います。