事業開発室
株式会社理研イノベーションとの連携のもと、当プログラムが推進する創薬テーマ・プロジェクトについて、企業や大学、外部研究機関との共同研究やライセンシング等のアライアンス部分を担当しています。
創薬化学基盤ユニットでは、創薬シード化合物探索基盤ユニットで見出された低分子ヒット化合物の合成化学的な構造最適化を行い、活性や標的選択性、体内動態の最適化を進めて動物病態モデルで薬効を示すリード化合物の同定 (Hit to Lead)を行います。
その過程においては創薬分子設計基盤ユニットや創薬タンパク質解析基盤ユニットで培われたin Silico スクリーニングやX線結晶構造解析など最新の技術を用いて創薬の高度化、迅速化を図ります。その後、リード化合物の薬効や毒性プロファイルの最適化を行い (Lead optimization) 、前臨床開発候補化合物の同定を目指します。その他に特許申請書の作成なども担当します。
創薬化学基盤ユニットでは、これまで希少疾患や難治性がんなどの治療薬開発に取り組んできましたが、その際には理研内外のアカデミアで見出された新規ターゲットに作用する低分子化合物を探索、最適化してきました。その過程において、がん領域などの遺伝子の発現に関わるターゲットの場合、ターゲットの機能(酵素活性など)を阻害しても動物病態モデルでの薬効に結びつかない事が何度かありました。
この現象に関しては、ターゲットが生体内で複数の機能を有しているためにひとつの機能だけを阻害しても望みの薬効が得られないのではないか、と考えています。そこで近年では標的蛋白分解 (Targeted Protein Degradation/PROTACs)と呼ばれる新規モダリティーを用いてがん治療薬の開発を試みています。この手法を用いるとターゲットを生体内のユビキチンープロテアソームシステムを使って分解する為に、ターゲットが有するすべての機能を消し去ることができる筈で、これまでアプローチが難しかった新規ターゲットに対する治療薬の開発に適用できるのではないか、と期待しています。