人類は直面する様々な自然の脅威を克服しながら、今日の文明を築いてきました。平成23年3月に発生した東日本大震災は、我が国に大きな困難をもたらすとともに、改めて自然に対する畏怖を認識させました。復興への道のりは依然として嶮しいものがありますが、被災者の方がたの忍耐と力強い歩みに敬意を表します。同時に理化学研究所も、再生の一助となるよう努力を続けてまいります。
平成24年6月リオデジャネイロで開催された「国連 持続可能な開発会議」では、この極めて困難な主要テーマの実現に向けた議論が交わされました。その中で我が国は、東日本大震災から得られた教訓を元に、大胆なエネルギー政策の転換や、災害に強い社会基盤づくりの推進等の提案を行いました。従来の経済成長戦略から脱却し、経済発展と持続可能な開発との調和をいかにして図るのか、我が国が新たな国家モデルを示し、世界を牽引していくためには、科学技術が大きな役割を担います。
理化学研究所は、国内随一の自然科学の総合研究所であり、多くの志の高い科学者たちが研究活動に励んでいます。個人で成し遂げられることは限定的ですが、研究所全体で社会の要請を受けとめ、協働することで、人類社会が抱える様々な課題の軽減と解決にむけて貢献できると考えています。
様々な科学知識と優れた技術の相乗効果により大きな価値を生み出し、社会から信頼される理化学研究所となるべく、引き続き全力で取り組んでいく所存です。