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画像情報処理研究チーム, エクストリームフォトニクス研究グループ, 光量子工学研究領域, 理化学研究所

細胞内ロジスティクスのデジタル解析


Contents


What's New ?

2013/04/2 up
所属変更のお知らせ

理化学研究所の基幹研究所解散に伴い、生物情報基盤構築チームは解散致しました。チームの研究は新たに光量子工学研究領域、エクストリームフォトニクス研究グループに発足した「画像情報処理研究チーム」に引き継がれます。また、平成20年度より5年間続いた科学研究補助金 新学術領域研究「細胞内ロジスティクス」は終了致しました。

2013/01/7 up
外観検査アルゴリズムコンテスト2012の結果

細胞内ロジスティクスの観察画像データを用いた外観検査アルゴリズムコンテスト2012が開催され、ViEW 2012にて表彰が行われました.細胞内ロジスティクスからも優秀なアルゴリズムに対して表彰を行っております.

2012/06/4 up
画像処理と生物学の融合研究を目指したWS 2012プログラム決定のお知らせ

「画像処理と生物学の融合研究を目指したWS」のプログラムが決定致しました.下記HPをご参照ください.生物・医用画像処理及び分子生物学での画像処理応用に興味をお持ちの方は奮ってご参加下さい.

2012/05/18 up
画像処理と生物学の融合研究を目指したWS 2012開催のお知らせ

昨年度予定しており震災により中止致しました「画像処理と生物学の融合研究を目指したWS」を細胞内ロジスティクス第4回班会議にて開催致します.生物・医用画像処理及び分子生物学での画像処理応用に興味をお持ちの方は奮ってご参加下さい.

2012/05/11 up
第四回細胞内ロジスティクス班会議のお知らせ

本年度の細胞内ロジスティクス班会議は宮城県秋保温泉で開催されます.当研究領域に興味をお持ちの方であれば,班外からの発表も歓迎いたしますので、奮ってご参加下さい.

2012/05/11 up
外観検査アルゴリズムコンテスト2012のお知らせ

本年度も細胞内ロジスティクスの観察画像データを用いた外観検査アルゴリズムコンテスト2012が開催されます.優秀なアルゴリズムはViEW 2012にて表彰が行われます. 皆様の御参加をお待ちしております.

2012/05/11 up
外観検査アルゴリズムコンテスト2011の結果

細胞内ロジスティクスの観察画像データを用いた外観検査アルゴリズムコンテスト2011が開催され、ViEW 2011にて表彰が行われました.細胞内ロジスティクスからも優秀なアルゴリズムに対して表彰を行っております.

2012/05/011 up
ホームページをリニューアルしました。

平成20-23年度の情報は下記にあります。

2012/03/05 up
RIKEN-Taiwan National Science Council Workshop

理研と台湾行政科学委員会で合同開催した「生物・医用画像取得・画像処理に関するワークショップ」の写真を以下に公開しました。


研究概要:新学術領域研究

細胞内物流システム解明のためのイメージデータを基としたデジタル解析システムの開発

平成20年度より文部科学省科学研究補助金 新学術領域研究「細胞内ロジスティクス:病態の理解へ向けた細胞内物流システムの融合研究」の計画研究として研究課題名「細胞内物流システム解明のためのイメージデータを基としたデジタル解析システムの開発」をスタート。

研究概要:

細胞内で物質輸送を行うエンドサイトーシス(取り込み)、エキソサイトーシス(分泌)、オルガネラ間輸送に代表される各物質輸送経路(メンブレントラフィックの複合的メカニズム・細胞内物流システム)の統括的解明は、病態の理解に向けて非常に重要です。特に近年のライブセルイメージングの発展に伴い、細胞内の物流システムの時間変化を連続画像として観察する事が可能となり、その複合的メカニズムの解明が期待されています。しかしながら、現状の細胞生物学では特定のオルガネラや個々の輸送経路に関しての詳細な研究が主流で、観察された個々の輸送画像データに対しての解析・解釈は、人の主観が大きく影響します。 したがって、当チームでは個人の判断基準によらない定量的解析手法の研究・開発が急務であり、細胞内の様々な輸送経路の統一的な定量解析による統括的理解こそが、病態の理解を進めるための最重要課題であると考えます。そのために平成20年度より、当チームは細胞内物流システム解明のための観察画像を基とした新しいデジタル解析システムの研究・開発を目的とし、細胞内輸送観察システム構築、細胞内物流システム画像処理計算法とそのソフトウェアの研究・開発を始めました。日本発の先端情報工学技術であるVCADシステムを生かして、様々な中身が詰まった生きたモノである細胞内で重要な役割を担う、物流システムの解明に迫る試みです。また、細胞内画像解析・処理の研究は始まったばかりであり、本研究は細胞生物学と情報科学・工学との本格的融合研究の先駆けとなり、新学術領域としての重要な意義を持つ事が期待出来ます。

具体的な研究中の項目:

本研究では、主に下記3つの研究項目を実施する予定です。
  • 細胞内物流システム解析に特化した画像処理アルゴリズムの研究・開発
  • 提案したアルゴリズムを基にした、細胞生物学者に優しい画像処理計算ソフトウェアの研究・開発
  • 細胞内物流システムの長時間観察システムの開発・運用
新学術領域研究略称「ロジスティクス」の各計画研究拠点は、それぞれ物流システム解明に向け様々な物質輸送経路に焦点を当てて細胞生物学の研究を実施しています。それら全てに当チームのみで個別の専用計算アルゴリズム・ソフトウェアを開発することは困難です。また、私たちは、個別の輸送経路に共通のunifiedかつstandardizedな定量化計算法を提案する事によって、「同じものさし」で各物質輸送経路を測る事が各メンブレントラフィックの複合的メカニズムの統括的理解へ繋がると考えています。特に、異なる輸送経路の共通情報の抽象化を実施し、情報科学・工学手法に則って共通情報のモデル化・簡略化を行う研究を実施しています。共通情報の抽象化に必要なツールとして、パターン解析・追跡と注目領域の自動抽出の研究を行っています。その後、各計画研究拠点と共同で抽象化された簡略化モデルに個々の輸送経路の特徴を検討し実際の細胞生物学研究に有用なソフトウェア化を実施する予定です。

この抽象化・簡略化を経て個別対象への特化を行う情報科学・工学的アプローチにより、物流システムに対する統一的な定量解析手法の確立を目指します。特に平成20-22年度は下記研究課題の実施に力を入れる予定です。

  • パターン解析・追跡アルゴリズムの研究: 3次元サリエンシー・幾何サリエンシー
  • 注目領域の自動抽出アルゴリズムの研究: 観察対象を抽出するエキスパートシステム
  • 長時間細胞観察システムの研究・開発: 共焦点光学系アップコンバージョン粒子4次元イメージング
その後、細胞内物流システム特有の特徴量やパラメータを各計画研究との連携により発見・選定する予定です。また、研究開発を通じて構築されたアルゴリズムは、独自に開発する画像処理統合プラットフォームに組み込む事で生物系研究者にも使い易いソフトウェアとして整備し最終年度には Web を通じて領域外に向けて公開する事によって、大きな波及効果を狙っています。

IntraCellular Image Processing

研究体制:理化学研究所 生物情報基盤構築チーム

生物情報基盤構築チームの下記メンバー
  • 牧野内 昭武 (代表:研究統括及び統合プラットフォーム開発監督)
  • 竹本 智子 (分担:注目領域の自動抽出アルゴリズムの研究及びそのソフトウェア開発)
  • 吉澤 信 (分担:パターン解析・追跡アルゴリズムの研究及びそのソフトウェア開発)
  • 西村 将臣 (分担:画像処理統合プラットフォームの研究・開発)
  • 横田 秀夫 (分担:長時間細胞観察システムの開発及び統合プラットフォーム設計)
  • 曽我 公平 (東京理科大学) (分担:アップコンバージョン粒子の研究開発)
  •  
  • 長井 超慧 (研究員、平成22年度のみ:幾何処理に適した画像表現の提案、微分特徴量による検出・可視化・解析とソフトウェア開発)





用語説明

  • ベシクル・輸送小胞:輸送小胞・ベシクルとは脂質二重膜で輸送物質が包まれた球状又は袋状の構造体である。オルガネラ(細胞小器官)同士の間や細胞膜とオルガネラ間等の脂質二重膜の間を行き来する物質輸送を担う。小胞体と呼ばれるオルガネラとは異なる。
  • 輸送関連オルガネラ:エンドソーム、リソソーム、ファゴソーム、小胞体、ゴルジ体等が代表的な輸送関連のオルガネラである。
  • 輸送担体:ベシクル及び輸送関連オルガネラ。
  • メンブレントラフィック:輸送担体が機能する物質輸送経路の総称。「膜輸送」(脂質二重膜上のチャネルやトランスポータによって、膜を通過するイオンや低分子の移動)とは異なる。
  • 細胞内物流システム:エンドサイトーシス(取り込み)、エキソサイトーシス(分泌)、オルガネラ間輸送に代表されるメンブレントラフィックの複合的メカニズム。細胞内の様々なメンブレントラフィックの統括的・大域的な複合的輸送機構。
  • 細胞内物流システム観察画像:複数の顆粒状物質や輸送担体の時間変化を観察した画像。通常一回の顕微鏡観察で取得される画像は空間2次元+時間1次元の3次元画像又は、空間3次元+時間1次元の4次元画像であり、通常時間変化を含むタイムラプス画像である。ベシクルは細胞膜又は輸送関連オルガネラの脂質二重膜が輸送対象の物質を包み込む様に千切れて形成され、輸送先の細胞膜又は、輸送関連オルガネラにベシクルが融合する事で消滅する。そのため、撮影する対象や解像度によっては、メンブレントラフィックは「点群の移動」や「厚みのある膜のトポロジー変化を伴った変形」として画像化され、その観察画像は非常に多様である。
詳細な用語・学術レビューは「メンブレントラフィックの奔流:分子から細胞,そして個体へ, 大野博司・吉森 保 編, 共立出版 蛋白質 核酸 酸素12月号増刊, Vol.53, No.16, 2008」を参照されたい。

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