生物情報基盤構築チーム, 先端技術基盤部門, 理化学研究所
外観検査アルゴリズムコンテスト2011の結果
ViEW2011ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子
パシフィコ横浜にて2011年12月8日-9日に420名が参加したViEW 2011にて、細胞内観察画像からのオートファゴソームの検出と細胞毎へのクラスタリングを対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2011 (159名エントリー)の結果発表・及び優秀賞・細胞内ロジスティクス賞の表彰が行われました。
- 熊谷 佳紀 氏, 大橋 剛介 氏(静岡大), 輝度極値に基づいた細胞内粒子の検出とクラスタリング
-2次微分を用いた粒子検出と輝度高低に着目した細胞領域検出によるクラスタリング- - 河合 涼 氏, 入野 裕章 氏, 柳井 隼知 氏(ファースト), 逐次的な膨張を用いた細胞領域の高精度検出
-局所的な2値化を用いた細胞内粒子の検出とその仕分け- - 藤枝 紫朗 氏(OMRON Europe OMG GmbH), Detection and Classification of Intracellular Particles
-by Using Ellipse Extraction and Labeling- - 栗田 直人 氏(静岡大), 近似LoGフィルタを用いた粒子検出と粒子と核との位置関係を考慮したクラスタリング
- 栗田 直人 氏,熊谷 佳紀 氏, 大橋 剛介 氏(静岡大), 近似LoGフィルタを用いた粒子検出と粒子と核との位置関係を考慮したクラスタリング
- 大久保憲治 氏,坪井辰彦 氏,小林央 氏,大美英一 氏,久世康之 氏,中根隆雄 氏(東レエンジニアリング), 細胞内粒子検出およびクラスタリング手法
-放射状2値化と領域成長による領域抽出を用いた粒子検出及びクラスタリング手法- - 藤枝 紫朗 氏(OMRON Europe OMG GmbH), Detection and Classification of Intracellular Particles
-by Using Ellipse Extraction and Labeling-
発表: 吉岡 和志 氏(オムロン). - 「栗田 氏ら、静岡大」:近似LoGフィルタを用いて高速に粒子の検出を行い、フィルタ応答の極大値とゼロ交差を用いて粒子の重心と半径を推定している。細胞領域と核を閾値処理で抽出し、その情報と合わせて粒子をクラスタリングしている。核の判別には二値化領域の円形度を用いている。全体的に計算量が少ない処理方法で、ロジスティクス評価法でも全てで高い成績が得られていて、正解率が高く、しかもロバスト性も高く過検出も少ない方式となっている。
- 「藤枝 氏ら、オムロン」:中央値フィルタ処理後の画像に Edge Code法を用いてvotingを行い細胞内領域を決定している。その後、粒子(オートファゴソーム)領域をLoGフィルタにて抽出し、相互に近い同士をマージしつつ、最終的に一 番近い細胞領域にクラスタリングしている。 方法はオーソドックなものであるが、シンプルな処理で非常に高速であり、精度も高い。細胞内ロジスティクス賞選考で用いた4種類の異なる評価法でも安定した成績が得られていて、精度も高く過検出も少ない、ロバストで高速な方式となっている。
- 「大久保 氏ら、東レエンジニアリング」:中央値フィルタ及び強調処理後に複数の閾値で多重二値化する事で、まず細胞核の候補を決め、円形度、凸包度、面積など形態特徴から細胞核領域を決定。次に各細胞核から、領域拡張を行う事で細胞領域を決定している。粒子 (オートファゴソーム)領域は、中央値フィルタ処理後、動的閾値法により抽出している。これらを合わせて最終的なクラスタリングを行っている。 細胞領域の抽出方法や粒子検出に独創性と工夫が見られ、細胞内ロジスティクス賞選考で用いた4種類の異なる評価法でも安定した成績が得られていて、正解率、ロバスト性は比較的高く、ロースペックマシンでも非常に高速であり、しかも過検出が最も少ない方式となっている。
- 「栗田 氏ら、静岡大」:細胞内ロジスティックスの現場からの第一の要請は、試験サンプルの難易に 因らず安定した、高いロバストネスが求められる(robustness)。第二の要請は、むやみに偽粒子を拾うようなことがないことである(低過検出reliability)。本アルゴリズムは、これら二つの要請からみて極めて優秀かつよいバランスを見せており(それぞれ2位、1位)、総合的にみても他を圧倒している。 さらに提案アルゴリズムは、粒子と細胞核の位置関係を生かした、 よく整理されたものであり、 ロジスティックス大賞としてまことに相応しいので、ここに表彰する。最も少ない方式となっている。
- 「藤枝 氏ら、オムロン」:本法はシンプルな処理で非常に高速かつ精度も高い。細胞内ロジスティクス賞選考4種類の評価法でも安定した成績が得られている。過検出も少なくロバストで高速な方式となっており、ロジ賞として相応しいものである。
- 「大久保 氏ら、東レエンジニアリング」:本アルゴリズムは、総合的にはトップではないが、現場において最も関心の高いロバストネスと信頼性(誤検出率が1位)がよくバランスしている点が高く評価できる。また、画像処理アルゴリズムも粒子領域の外形の導入とその成長アルゴリズムが うまく設計されていて、ロジ賞として表彰するに値する。
精密工学会 画像応用技術専門委員会
最優秀賞
優秀賞
学生奨励賞
文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究 細胞内ロジスティクス
細胞内ロジスティクス大賞
細胞内ロジスティクス賞
本細胞内ロジスティクス(大)賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、細胞内ロジスティクスに有用であろうロバスト性を4種類の順位(正解率、各正答データの難易度を加味した順位:参加者全体の正解率の逆数で各データの点数を重み付けした順位、参加者の全データに対する得点の分散で正解率を割った点数の順位、重み付け+分散)により採点し、また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に産総研の大津先生及び中京大の輿水先生に審査して頂いた結果を基に選考をしております。
細胞内ロジスティクス大賞・賞受賞者の方々. 左: 栗田 直人 氏,熊谷 佳紀 氏, 大橋 剛介 氏(静岡大). 中: 大美英一 氏 (東レエンジニアリング). 右: 課題「オートファゴソームの検出と細胞毎へのクラスタリング」.
大津 展之 先生(産総研)の講評
輿水 大和 先生(中京大)の講評