生物情報基盤構築チーム, 先端技術基盤部門, 理化学研究所
外観検査アルゴリズムコンテスト2012の結果
ViEW2012ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子
パシフィコ横浜にて2012年12月6日-7日に開催されたViEW 2012にて、細胞内観察画像の「再生する細胞の領域追跡」(データ提供:佐々木 卓也 先生、坂根 亜由子 先生、徳島大学 )を対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2012 (約160名エントリー)の結果発表・及び優秀賞・細胞内ロジスティクス賞の表彰が行われました。
- 栗田 直人 氏,大橋 剛介 氏 (静岡大), 輝度勾配に基づいた細胞領域の検出と追跡
-フレーム間の細胞の移動量と移動方向を考慮した細胞領域の検出- - 菅野 純一 氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ), 細胞間の競合を利用した細胞領域の分割
-ボロノイ境界を加味したエネルギーにより隣接する細胞領域を分割するアルゴリズム- - 藤枝 紫朗 氏 (OMRON Europe OMG GmbH), Area extraction and chase of cells
-High-speed method by using gray distribution and residual correlation- - 服部 宏祐 氏(徳島大), テンプレートマッチングとWaterShedを用いた細胞の追跡と抽出
-追跡する細胞の境界を領域分割することで抽出を行うアルゴリズム- - 栗田 直人 氏,大橋 剛介 氏 (静岡大), 輝度勾配に基づいた細胞領域の検出と追跡
-フレーム間の細胞の移動量と移動方向を考慮した細胞領域の検出- - 菅野 純一 氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ), 細胞間の競合を利用した細胞領域の分割
-ボロノイ境界を加味したエネルギーにより隣接する細胞領域を分割するアルゴリズム- - 藤枝 紫朗 氏 (OMRON Europe OMG GmbH), Area extraction and chase of cells
-High-speed method by using gray distribution and residual correlation- - 永田 毅 氏, 松崎 和敏 氏 (みずほ情報総研), Sobelフィルタと動的計画法を用いた細胞輪郭の抽出と追跡
-勾配ピーク点を輪郭候補とし膨大な組み合わせの中から尤度が最も高い輪郭を抽出- - 「栗田 氏ら、静岡大」:輝度勾配に着目した方法で細胞の重心検出と追跡、細胞領域の検出を行う手法であり、細胞の形状や位置の変化がフレーム間では少ないことを前提に処理結果をfeed-forwardおよびfeed-backに効率よく時系列に繰り返し適用する事により、検出精度の向上を図っている。対象画像の特徴を捉えたヒューリスティックスを採用し時間軸に沿っての総合化を行うなど、素直な画像処理戦略によって正解率、頑健性ともに優れた性能を達成していて、実際の細胞画像解析に寄与できる処理法として最も優れている。
- 「菅野 純一 氏、ヴィスコ・テクノロジーズ」:分離度フィルタで細胞核を安定に検出して追跡し、細胞核を囲む細胞領域は、細胞核を母点とするVoronoi境界として、細胞間の競合を加味したエネルギー汎関数を動的計画法で最小化する事で抽出している。これらの工夫によって高い正解率を達成している。要旨の記述も明解である。
- 「藤枝 紫朗 氏、OMRON Europe」:オーソドックスな前フレームをモデルとしたマッチング(相関)法を用いた追跡法と近傍輝度比較に基づく領域拡張による細胞領域の検出法を提案している。シンプルな処理なだけに極めて高速であり、検出精度はトップに少し劣り改善の余地もあるが、頑健さには優れた手法となっている。
- 「栗田 氏ら、静岡大」:勾配強度に基づいた領域拡張法を時系列に繰り返し適用する事により、重心検出・追跡、細胞領域の検出、検出領域の高精度化を 行う方法である。二周目は求めた重心の移動方向、三週目は逆時系列に重心からの距離で重みを付けた勾配強度を用いている。オーソドックスな手法を用いているが、対象画像の特徴を捉えた方法を構築していること、時間軸の取り扱いを考慮することなど、画像処理手法の戦略に優れている。正解率、ロバストネスにも飛び抜けて優れており、実際の細胞現象の解明に寄与できうる処理法として最も優れている。
- 「菅野 純一 氏、ヴィスコ・テクノロジーズ」:分離度フィルタで細胞核+細胞の競合を加味したVoronoi領域によるエネルギー汎関数を動的計画法で最小化する事で細胞 領域を抽出している。対象画像にハマルと非常に有効であるが、変化する対象に追従することが大変難しい手法で良い成績を得ている。手法のオリジナリティと要素技術のレベルが大変高い。難しい細胞画像に対して、飛び道具をうまく使いこなしている点を評価する。
- 「永田 毅 氏ら、みずほ情報総研」:高速MeanShift+放射状エッジの検出。本コンテストにおける細胞の特徴である、細胞の辺縁の輝度が高いこと、移動が比較的低速であることに着目した手法である。提案手法では、現実的な計算時間で処理が完了することを目的に、輪郭候補を高速に判定する為に動的計画法を採用するなど、実利用への配慮がされている。
精密工学会 画像応用技術専門委員会
最優秀賞
優秀賞
学生奨励賞
文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究 細胞内ロジスティクス
細胞内ロジスティクス大賞
細胞内ロジスティクス賞
本細胞内ロジスティクス(大)賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、細胞内ロジスティクスに有用であろうロバスト性を4種類の順位(正解率、各正答データの難易度を加味した順位:参加者全体の正解率の逆数で各データの点数を重み付けした順位、参加者の全データに対する得点の分散で正解率を割った点数の順位、重み付け+分散)により採点し、また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に産総研の大津先生及び中京大の輿水先生に審査して頂いた結果を基に選考をしております。
細胞内ロジスティクス大賞・賞受賞者の方々. 左より: 栗田 直人 氏 (静岡大)、菅野 純一 氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ)、永田 毅 氏 (みずほ情報総研). 右: 課題「再生する細胞の領域追跡」.
大津 展之 先生(産総研)の講評
輿水 大和 先生(中京大)の講評