多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
CD169陽性マクロファージの分化制御機構の解明

浅野 謙一
研究代表者
浅野 謙一
東京薬科大学 生命科学部・准教授
研究室HPE-mail

研究内容

 マクロファージは、炎症に伴い組織に集積する「炎症性マクロファージ」と、組織に常在する「常在マクロファージ」に大別される。前者は骨髄系単球から分化することが明らかになってきたが、常在マクロファージの詳しい分化機構は未だ解明されていない。申請者はこれまで、CD169分子を発現し、組織と外界との境界領域に局在するマクロファージの亜集団が、死細胞処理とその付随抗原に対する免疫応答の制御に重要な役割を担うことを明らかにしてきた。この免疫制御機能に加え、骨髄傍血管ニッチのCD169陽性マクロファージは造血幹細胞の血中への遊出制御にも関与することが明らかになってきている。このように局在・機能の両面において特殊な細胞集団であるCD169陽性マクロファージは、他のマクロファージとは異なる分化経路を辿ることが想定されるものの、その前駆細胞は同定されておらず分化のプロセスも全く分かっていない。本研究では、CD169陽性マクロファージの分化機構を明らかにし、常在マクロファージの分化機構の解明に貢献したい。

これまで明らかになったCD169陽性マクロファージの役割
CD169陽性マクロファージは2次リンパ臓器において血流やリンパ流との境界領域に常在し、1)不溶性抗原の侵入を監視し、2)抗原の性質に応じた免疫応答を誘導する。3)さらに骨髄では傍血管ニッチに局在し、未熟幹細胞の血中への遊出を制限する。

主な論文

* correspondence
研究代表者
浅野 謙一

Asano K, Nabeyama A, Miyake Y, Qiu CH, Kurita A, Tomura M, Kanagawa O, Fujii S, and Tanaka M.
CD169-Positive Macrophages Dominate Antitumor Immunity by Crosspresenting Dead Cell-Associated Antigens.
Immunity. 34: 85-95, 2011.

Tsuboi N, Asano K, Lauterbach M, and Mayadas TN.
Human neutrophil Fcγ receptors initiate and play selective roles in antibody- mediated inflammatory diseases.
Immunity. 28: 833-846, 2008.

Miyake Y, Asano K, Kaise H, Uemura M, Nakayama M, Tanaka M.
Critical role of macrophages in the marginal zone in immune suppression to apoptotic cell-associated antigens.
The Journal of Clinical Investigation. 117: 2268-2278, 2007.

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