多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
核マトリクス変動を介したT細胞運命制御機構の解明

山下 政克
研究代表者
山下 政克
愛媛大学・教授
研究室HPE-mail
連携研究者
小原 収
かずさDNA研究所・部長 
研究室HPE-mail
連携研究者
桑原 誠
愛媛大学先端医療創成センター・助教
研究室HPE-mail

研究内容

 免疫記憶を担うメモリーT細胞分化や、獲得免疫の反応多様性に関わるヘルパーT(Th)細胞サブセットの分化など、抗原認識後のT細胞運命決定には、クロマチンリモデリングを介した、網羅的かつ協調的な遺伝子発現変化が深く関与している。核マトリクスの発現レベルと構成の変化は、クロマチン構造のリモデリングと密接に関わっていると考えられてはいるが、T細胞における制御機構と、運命決定における意義については理解が進んでいない。私たちは、核マトリクスの主要な構成成分であるLaminA/C発現量とアイソフォーム比率が、T細胞の分化・老化に伴い劇的に変化することを見いだした。LaminA/Cの変異・蓄積は、網羅的な遺伝子発現変化誘導し、早老症をはじめとしたラミノパチーの原因となることから、T細胞の分化や老化に伴うLaminA/C発現量とアイソフォーム比率の変化が、T細胞運命決定に関与している可能性を考え、研究を開始した。
 本領域研究では、Th細胞サブセットとメモリーT細胞分化における、LaminA/Cの役割解析をおこない、T細胞運命決定における核マトリクス変動の意義を明らかにすることを目指す。私たちは、現在までに、LaminA/C発現を制御する因子として腫瘍抑制因子Meninと転写抑制因子Gfi1を同定しており、LaminA/C発現制御におけるこれら2つの分子の役割に着目し、エピジェネティックな手法を用いた解析をおこなうことで、核マトリクス変動を介したT細胞運命決定機構の新しいモデルの提唱を試みる。

主な論文

* correspondence
研究代表者
山下 政克

Kuwahara M, *Yamashita M, Shinoda K, Tofukuji S, Onodera A, Shinnaksu R, Motohashi S, Hosokawa H, Tumes D, Iwamura C, Lefebvre V, and *Nakayama T.
The transcription factor Sox4 is a downstream target of signaling by the cytokine TGF-β and suppresses TH2 differentiation.
Nat. Immunol. 13: 778-786, 2012. #equal contribution

*Nakayama T, and Yamashita M.
Initiation and maintenance of Th2 cell identity.
Curr. Opin Immunol. 20: 265-271, 2008.

Yamashita M, Hirahara K, Shinnakasu R, Hosokawa H, Norikane S, Kimura YM, Hasegawa A, and *Nakayama T.
Crucial role of MLL for the maintenance of memory T helper type 2 cell responses.
Immunity. 24: 611-622, 2006

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