多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
造血幹細胞から血液細胞へのケモカインシグナルによる系列決定機構の解明

北村 俊雄
研究代表者
杉山 立樹
京都大学 再生医科学研究所・助教
研究室HPE-mail

研究内容

 全ての血液細胞は、成体骨髄で多能性造血幹細胞から生じた前駆細胞が、段階的に多分化能に制限を受け各細胞種に系列決定されて産生される。最近、造血幹細胞にはリンパ球を優位に生み出すものと骨髄球を優位に生み出すものとがあることが報告され、造血幹細胞の段階ですでに分化が調節されている可能性が示唆された。造血幹細胞からの分化はニッチと呼ばれる骨髄微小環境が精緻に制御していると考えられている。

 杉山らは、CXCL12- CXCR4ケモカインシグナルが、Bリンパ球や形質細胞様樹状細胞(pDC)などの血液細胞の発生や造血幹細胞(HSC)の維持に必須であることを見出し、それらのニッチとしてケモカインCXCL12を高発現し長い突起を持つCXCL12高発現細網細胞(CAR細胞)を同定した。しかしながら、このケモカインシグナルがいかにして造血幹細胞から血液細胞への分化を制御しているかは不明である。そこで本研究では、CAR細胞の形成するニッチでの、CXCL12-CXCR4ケモカインシグナルによる多能性造血幹細胞から血液細胞への系列決定の制御を解明することを研究目標とする。

主な論文

* correspondence
研究代表者
杉山 立樹

Omatsu Y, Sugiyama T, Kohara H, Kondoh G, Fujii N, Kohno K and *Nagasawa N.
The Essential Functions of Adipo-osteogenic Progenitors as the Hematopoietic Stem and Progenitor Cell Niche.
Immunity 33: 387-399, 2010

Kohara H, Omatsu Y,Sugiyama T, Noda M, Fuji N, and *Nagasawa T.
Development of plasmacytoid dendritic cells in bone marrow stromal cell niches requires CXCL12-CXCR4 chemokine signaling.
Blood 110: 4153-4160, 2007

Sugiyama T, Kohara H, Noda M, and *Nagasawa T.
Maintenance of the Hematopoietic Stem Cell Pool by CXCL12-CXCR4 Chemokine Signaling in Bone Marrow Stromal Cell Niches.
Immunity 25: 977-988, 2006

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