多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
造血幹細胞の分化様式の解析

北村 俊雄
研究代表者
依馬秀夫
東京大学医科学研究所・特任准教授
研究室HPE-mail

研究内容

 造血幹細胞は自己複製能と多分化能によって造血システムを恒常的に維持している。しかし、自己複製と分化の運命選択がどのように制御されているか不明である。申請者らは造血幹細胞の分化様式を解明するためにシングルセルの培養と移植からなるPaired daughter cell assayを開発して、この問題に取り組んできた。Paired daughter cell assayとは1個の造血幹細胞を培養することによって1回分裂させ2個の娘細胞を得た後、それぞれの娘細胞を1匹の放射線照射後のマウスに移植する方法である。これにより娘細胞間の能力を比較できる。本研究では「造血幹細胞は非対称性分裂を介して一方の娘細胞が造血幹細胞を維持し、他方の娘細胞が巨核球前駆細胞、赤芽球・巨核球前駆細胞、骨髄球系共通前駆細胞へコミットする」という申請者らの独自のモデルを検証する。本研究の培養系にはニッチ細胞が存在しない。従って、必ずしもin vivoの状況下を反映していないかもしれない。しかし、ほ乳類の細胞を用いた非対称性分裂を解析できる数少ない優れた実験系のひとつである。この実験系を基盤として、細胞の多様性獲得機構として重要な非対称性分裂のメカニズム、自己複製のメカニズム、特定細胞系譜へのコミットメントのメカニズムを追究する。

主な論文

* correspondence
研究代表者
依馬秀夫

*Ema H, Sudo K, Seita J, Matsubara A, Morita, Y, Osawa M, Takatsu K, Takaki S, and Nakauchi H. Quantification of self-renewal capacity in single hematopoietic stem cells from normal and Lnk-deficient mice.
Dev Cell. 8: 907-14, 2005.

Ema H, Morita Y, Yamazaki S, Matsubara A, Seita J, Tadokoro Y, Kondo H, Takano H, and *Nakauchi H. Adult mouse hematopoietic stem cells: purification and single-cell assays.
Nat Protoc. 1: 2979-87, 2006.

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