RIKEN ECO HILIGHT 2008

守屋 繁春

守屋 繁春

守屋バイオスフェア科学創成研究ユニット ユニットリーダー。
理学博士。理研工藤環境分子生物学研究室 専任研究員。(独)科学技術振興機構バイオリサイクルプロジェクト 研究員などを経て、現職(横浜市立大学大学院 客員研究員 兼務)。

研究者を志す若い世代へのメッセージ

 まずは身の回りにどんな生き物がいるのか、興味を持って見つめてみることですね。『こんな場所には、何もいないだろう』と思い込まずに、『本当にいないだろうか、見えないだけではないか』と、疑問を持ってみることが大切。藻類の研究を始める際に、私は東京港・お台場の海中に潜ってみたことがあります。海水は濁っていて視界は極めて悪かったのですが、採取した水を分析してみるとそこにはたくさんの微生物が暮らしていました。弱い光しか届かない海中でも生きることができる生き物たちがいるという証拠です。彼らが、生態系で果たしている役割を本格的に調べるのはこれからですが、そうした知られざる世界を最初に発見できる喜びや体験は、探究心に新たな火を灯してくれます。
 また、生態系がさまざまな生き物(個体や種)によって構成され、さらに生態系間で相互に影響しあっていることは、さまざまな分野の専門家の協力がなければ実現しません。皆さんも、いつも同じ分野に閉じこもらないで、ぜひ色々な人と友達になって意見を交わしてみてください。ちなみに、理研には、既存の生化学的な研究アプローチを組み合わせて包括的に捉える研究基盤システムがあります。そして専門を超えた人脈などの知的ネットワークが理研を軸に整備されてきています。研究というのは、異分野と結びつくことで、それまでお互いに知らなかった発見が出てきやすいのです。