各事業所の一般公開

理研をもっと理解していただくために、
市民の皆さまとの交流を続けています。

 理化学研究所では、毎年、科学技術週間行事の一環として、各施設を一般公開しています。広範囲にわたる研究内容を分かりやすく紹介するとともに、科学を身近なものとして親しんでいただける実験やイベントなどを開催し、科学に関心をもつ子どもたちや地域の皆さまに向けて幅広いアプローチをしています。2008年度は前年を上回る17,884人の方々に参加していただきました。

和光研究所

和光研究所
色付きのまゆで動物をつくる来場者の皆さん

 100以上の研究室が、体験型の展示や工夫を凝らしたパネルを使って研究内容を紹介しました。講演会では、丑田公規(うしだきみのり)研究ユニットリーダー(基幹研究所 丑田環境ソフトマテリアル研究ユニット)が「“エチゼンクラゲが国を生む”ひょうたんからコマ クラゲからムチン」、阿部知子チームリーダー(仁科加速器研究センター 生物照射チーム)が「植物の七変化 —黄色い桜、塩に負けないイネ」と題して、新聞などで話題になったそれぞれの最先端の研究をわかりやすく解説しました。「深海の世界を体感しよう!」「ブロッコリーからDNAを抽出してみよう!」などのイベントも大好評で、日ごろ静かな研究所も多くの家族連れでにぎわいました。2008年度は、例年を大きく上回る9000名を超える来場者がありました。

筑波研究所

筑波研究所
研究者からマウスの説明を受ける来場者

 筑波研究所の一般公開では、2日間で1340名以上の来場者がありました。来場した方々は、話題のiPS細胞やES細胞を顕微鏡下で観察したり、厳しい環境で育つ植物の話を研究者から熱心に聴いていました。また、寛山(ひろやま)隆研究員(細胞材料開発室)による「万能細胞(iPS細胞とES 細胞)とは何か」、辨野義己(べんのよしみ)室長(微生物材料開発室)による「うんちは語る腸の老化」と題した講演会では、会場が満員になる盛況でした。一般の方に科学、そしてバイオリソースセンターの重要性を理解していただく絶好の機会となりました。

播磨研究所

播磨研究所
SCSS試験加速器見学の様子

 「ここが科学の最先端 −SPring-8−」と題してSPring-8施設公開(一般公開)を行いました。大型放射光施設「SPring-8」の秘密を探るガイドツアー、偏光板や音波を使ったゲーム、また、SPring-8を用いた農産物の産地特定といった身近な話題を扱った講演会などが多くの人でにぎわいました。X線自由電子レーザー(XFEL)の原型として研究開発されたSCSS試験加速器の見学の際に配布した理研オリジナルエコバッグやSPring-8下敷きも大人気でした。2008年度の一般公開には、約3600名が来場、自然に恵まれた広いキャンパス内で、ゆったりとくつろぐ方々も多く見受けられました。

横浜研究所

横浜研究所
熱心にタンパク質の結晶を観察する来場者

 横浜研究所は、横浜市立大学大学院と合同で一般公開を開催しました。講演会では、石井保之チームリーダー(免疫・アレルギー科学総合研究センター)が「スギ花粉症の撲滅を目指して」、中村祐輔センター長(ゲノム医科学研究センター)が「患者に優しいオーダーメイド医療」というテーマで、それぞれ医療応用へ向けた最先端の研究を紹介しました。また、国境を越えて広がる感染症に関するセミナー、普段入ることのできない遺伝子解析施設や植物実験室の見学ツアー、タンパク質の結晶観察などのイベントや展示を70以上の研究室が催し、多くの家族連れや学生でにぎわいました。過去最高の2064名の来場者があり、各々研究者に質問しながら最先端の科学を楽しんでいる様子でした。

神戸研究所

神戸研究所
工作教室の様子

 神戸研究所は、研究内容の展示や工作教室など多彩なプログラムで日ごろの活動を紹介しました。林茂生グループディレクター(発生・再生科学総合研究センター形態形成シグナル研究グループ)が「発生と再生の秘密を教えてくれる小さな生き物、昆虫」、鈴木正昭副プログラムディレクター(分子イメージング研究プログラム)が「分子に目印をつけて体の中を観察しよう」と題して講演しました。また、実験動物の展示や身近にある放射線の測定、「発生と病気」などをテーマにした展示には、多くの来場者が研究者の解説に熱心に耳を傾けていました。来場者同士で科学について気軽に語り合う「おしゃべりカフェ」では、「自分の遺伝情報。知りたい?知りたくない?」というテーマで、参加者が活発な議論を繰り広げていました。冷たい雨が降るあいにくの天気でしたが、1076名の来場者がありました。

仙台支所

仙台支所
親子でつくるプラネタリウム工作教室

 「行ってみよう! ふしぎ体感テラヘルツ」と題して開催した仙台支所の一般公開には、来場予想者数を大幅に上回る192名が来場しました。研究講演では、牧謙一郎研究員(テラヘルツイメージング研究チーム)が「テラヘルツテクノロジー ー見えないものを見せる力ー」をテーマに、将来の私たちの生活や社会に役立つテラヘルツ光の可能性について、来場者にも楽しめる対話形式を用い、わかりやすく紹介しました。また、「テラヘルツ波」や「ジャイロの力」を実際に体感できるコーナーや、小学生から作れるプラネタリウム工作教室など、一般の方々が日頃体験できない科学の不思議を体感していただきました。

名古屋支所

名古屋支所
人を抱き上げることができる介護ロボット「RI-MAN」の実演

 名古屋支所は、日頃の研究内容をパネルを使って紹介するとともに、実際の研究室も一般公開しました。来場者には、触覚を用いて人を抱き上げることができる介護ロボット「RI-MAN」や、学習する脳型ロボット、コウモリの目で動くロボットなど、理研における最先端のロボット研究について、研究者の実演を交えながらわかりやすく紹介しました。参加型実験室「ペットボトルでロケットを作って飛ばしてみよう!」では、子どもたちが自分の作ったロケットの飛距離を競うなど大いに盛り上がりました。子どもから大人まで536名の来場者が「科学の1日」を満喫できるイベントになりました。