RIKEN ECO HILIGHT 2008

平山秀樹

平山秀樹

テラヘルツ量子素子研究チーム チームリーダー。工学博士。埼玉大学連携教授。2001年に、340nmでの高効率紫外発光を世界で初めて実現し、丸文研究奨励賞(2003年)、文部科学大臣若手科学者賞(2005年)と相次いで表彰。

研究者を志す若い世代へのメッセージ

 ブレークスルーにはアイデアが必要です。
 私は、もともと結晶成長に興味がありました。それによって、これまでにない特性や機能を持った、新しい物質を作る出せることが醍醐味でした。
 半導体結晶の品質向上には、製造設備の性能が重要になります。世界最高レベルの研究するため、結晶を作るための化学反応を起こす装置(リアクター)も自作しています。市販品では十分な反応を起こせないのです。
 純粋科学とエンジニアリングの違いは、実用化することで社会に貢献できるかどうかです。半導体製造装置も、ブレークスルーのための研究開発用と、量産化を想定したラインと大きく2つを開発しています。
 さまざまな条件がうまく組み合わさった時に初めて成果が出ますが、そう簡単ではありません。ブレークスルーには、アイデアが必要です。あらゆることを頭の中で想定して、条件を変えながら根気よくトライすること。泥臭い作業ですが、ブレークスルーにより世界で初めての瞬間に立ち会えることは非常に胸が高鳴りますね。それは宝探しに似ています。研究チームには学生も参加していますが、若い人たちはそう簡単には諦めない。ひらめきも大事だし、可能性のすべてに当たっていくような根気も大事です。AlN下地層の高品質化も、そうした飽くなき挑戦と、チームワークの中から生まれたといえます。