多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称:細胞運命制御

組織・研究内容

研究課題名
造血幹細胞の運命を制御するDicerの役割解明

伊東 史子
研究代表者
伊東 史子
東京薬科大学生命科学部心血管医科学研究室・准教授
研究室HPE-mail

研究内容

 本研究は、造血幹細胞の運命決定におけるDicerの役割解明を目標とし、分化過程で機能するmicroRNA (miRNA)の同定、並びにmiRNAの標的mRNAを網羅的に明らかにすることを目指している。
micro RNA (miRNA) は22塩基前後の小さな機能性低分子RNAであり、mRNAの非翻訳領域である3’UTR領域に結合し、タンパク質発現を翻訳レベルで制御する。miRNAの成熟には、RNaseIIIファミリーに属するDicerが必須である。miRNAは細胞の分化に重要な役割を担うため、我々は血管・血球分化におけるmiRNAの重要性を明らかにする為に、Dicer を血管内皮細胞および造血幹細胞特異的にノックアウトしたマウス (Dicerfl/fl; Tie2-Cre (Dicer CKO))を作出したところ、Dicer CKO胚は図1のように肝臓の低形成が認められ、胎生致死となった。また、一次造血や血管内皮細胞から造血幹細胞のbuddingは正常にみられたが、生殖臓器−中腎 (AGM) 領域が血球系へ分化できないことを見出した(未発表)。今後は、二次造血で見られる血管内皮細胞から造血幹細胞へ、さらに血球細胞へと分化する過程において昨日するmiRNAの役割解析を進めるとともに、miRNAを利用したiPS細胞から血球細胞への分化を制御する技術の創生に努める。

主な論文

* correspondence
研究代表者
伊東 史子

Itoh F, Itoh S, Adachi T, Ichikawa K, Matsumura Y, Takagi T, Festing M, Watanabe T, Weinstein M, Karlsson S, and * Kato M.
Smad2/Smad3 in endothelium is indispensable for vascular stability via S1PR1 and N-cadherin expressions.
Blood. 119: 5320-5328. 2012

Tanaka A, Itoh F, Nishiyama K, Takezawa T, Kurihara H, Itoh S, and * Kato M.
Inhibition of endothelial cell activation by bHLH protein E2-2 and its impairment of angiogenesis.
Blood. 115: 4138-4147. 2010.

Itoh F#, Itoh S#, Carvalho RLC#, Adachi T, Ema M, Goumans MJ, Larsson J, Takahashi S, Mummery CL, ten Dijke P, and * Kato M. (#equally contributed)
Poor vessel formation in embryos from knock-in mice expressing ALK5 with L45 loop mutation defective in Smad activation. Lab.
Invest. 89: 800-810. 2009

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