研究トピックス

生体分子の翻訳後修飾を含めた詳細な構造解析

生体分子の定量的解析法の開発

RNAの質量分析

生体分子の翻訳後修飾を含めた詳細な構造解析
 (堂前,鈴木,渡邊,郭,久保田)

ゲノムに暗号化された遺伝情報はRNAに転写された後、タンパク質に翻訳され生合成される。多くのタンパク質はこの遺伝情報どおりにアミノ酸が並んだポリペプチドとして翻訳された後に何らかの修飾を受けることで生物活性が生じ、また活性を制御されている。この遺伝情報に直接記載されない、タンパク質独自の情報=翻訳後修飾を解明することがポストゲノムシークエンス時代のタンパク質の構造解析への要求である。また、バイオプローブを用いたケミカルバイオロジー研究を始め、低分子薬剤のタンパク質結合位置の解析にも構造解析への大きな要求がある。しかしこれらの修飾部位解析や薬剤結合部位解析を含めた詳細で精密な構造解析は大変困難な課題として残されている。エピゲノム研究でもヒストンやノンヒストンタンパク質の翻訳後修飾が遺伝子発現を制御しているのではないかと注目されている。我々は、翻訳後修飾に関連した構造解析法の開発を行いつつ、その応用研究を行っている。

ゲノムに暗号化された遺伝情報はRNAに転写された後、タンパク質に翻訳され生合成される。多くのタンパク質はこの遺伝情報どおりにアミノ酸が並んだポリペプチドとして翻訳された後に何らかの修飾を受けることで生物活性が生じ、また活性を制御されている。この遺伝情報に直接記載されない、タンパク質独自の情報=翻訳後修飾を解明することがポストゲノムシークエンス時代のタンパク質の構造解析への要求である。また、バイオプローブを用いたケミカルバイオロジー研究を始め、低分子薬剤のタンパク質結合位置の解析にも構造解析への大きな要求がある。しかしこれらの修飾部位解析や薬剤結合部位解析を含めた詳細で精密な構造解析は大変困難な課題として残されている。エピゲノム研究でもヒストンやノンヒストンタンパク質の翻訳後修飾が遺伝子発現を制御しているのではないかと注目されている。我々は、翻訳後修飾に関連した構造解析法の開発を行いつつ、その応用研究を行っている。一昨年度から参加する「次世代生命基盤技術を用いたB型肝炎制圧のための創薬研究 」では、CDE (cccDNA Eliminator)化合物の標的タンパク質の結合部位解析を開始した。また、次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムでは、東京大学・シカゴ大学と共同で、治療標的であるヒストンメチル化酵素SMYD2の新規基質としてPARP1を同定した。また、理研GRC糖鎖代謝学研究チームと共同でNgly1タンパク質の欠損により蓄積する異常タンパク質の解析を行い、不完全な糖鎖が致死に至ることを発見しプレスリリースを行った。また、東京薬科大学と共同で、飢餓にともなうオートファゴソームの形成に関与するSyn17結合タンパク質の解析を行った。

Ngly1

生体分子の定量的解析法の開発 (堂前,川田,坂西,鈴木)

タンパク質の翻訳後修飾によるエピジェネティックな遺伝子発現制御の研究などでは、翻訳後修飾の種類や修飾場所だけではなく、絶対量が重要である。我々は質量分析による定性的な解析に加え、相補的に活用できる絶対定量法として、超高感度のアミノ酸組成分析法を確立してきた。本年度は、東京大学・シカゴ大学と共同で、メチル化酵素と基質を共発現し、タンパク質のin vivoのメチル化量を定量できるシステムを開発した。また、理研の石井分子遺伝学研究室の石井 俊輔上席研究員と共同で、卵子や精子に多く存在するヒストンバリアント、TH2Bの量を相対的に定量する方法を確立し、精子形成性におけるTH2Bの役割の解明を行った。

RNAの質量分析(中山,小池,椎名)

遺伝情報に直接記載されない、RNAの転写後修飾の構造・機能を解明することを目標として、質量分析によるRNA解析システムの構築を行っている。私たちは、特に、RNAをタンデム質量分析データとゲノムなどのDNA/RNA配列データベースのみから同定できる検索ソフトウェアAriadneを開発してきた。今年度はAriadneの機能拡張を行い、miRNAの直接解析および同定が可能になった。この改良と併せ、共同研究者が開発したスプレー補助装置をもちいることにより、ヒト培養細胞からフェムトモル量のmiRNAを同定することが可能となった。これは、タンデム質量分析をもちいてmiRNAを自動的そして客観的に同定した最初の例である。

お知らせ

RNAデータベース検索ソフトAriadneはこちらからアクセスできます。


2001年以降の研究内容