仙台研究所

仙台支所
支所長 緑川克美

事業所の環境方針

敷地内に植えられた桜
敷地内に植えられた桜

 仙台市は比較的に早い時期からゴミの分別回収やゴミ袋の有料化などをすすめてきました。理研仙台支所においても、これに即して所定のゴミ袋を購入し、支所内のゴミ分別等を実施しています。加えて、自主的な取り組みとして、仙台支所では資源ゴミを業者に回収してもらいリサイクルしてもらっています。
 仙台支所にお越しいただくと分かりますが、敷地境界に面した約4分の1は鉄柵やコンクリート壁といった無機的な敷居ではなく、生け垣を利用して構内外を分離しています。
 構内では太陽電池による蓄電を活用した外灯を設置したり、棟内の廊下にセンサーを付けて、人がいるときだけ点灯するような電灯を設置したりしています。
 また、現在、研究棟の窓に断熱フィルムを貼ることで、冷暖房使用電力量を抑えることができるか検討しています。(検討の結果が良好であれば、断熱フィルムを装着します)
 いずれの事例においても、環境への貢献はわずかですが、こういった小さなことを積み重ねることも大切だと思っています。

研究と環境貢献

 仙台支所では、テラヘルツ光に関して、その発光から検出や様々な測定応用まで広く研究しています。そのひとつに「テラヘルツ領域における気体分子の吸収が地球環境に及ぼす役割の研究」があります。
 水蒸気は最も主要な温室効果ガスで、地球の温室効果の60%を占めると言われています。また、大気中の水蒸気圧が高いほどその大気はテラヘルツ光をよく吸収することがわかっています。このことから私たちは、地球から宇宙空間へ放出される輻射波に含まれるテラヘルツ光を測定することによって、地球の熱収支を見積もる上で極めて重要な知見をもたらすと考えています。
 仙台支所では、テラヘルツ領域において気体の吸収強度を測定できる優れた装置を開発しました。この装置から得られたデータによって従来よりも詳細な計算が可能になり、これまでの地球の温暖化モデルを大きく書き換える可能性があると期待しています。
 理研は古くから光に関する研究を実施してきました。ここで培われてきた知見と他の分野との連携をすることで、例えば、大気汚染物質を分解するような光触媒反応の活性化に応用するように、環境問題の解決に挑むこともできると思います。
 このように、環境問題への解決として科学技術が少なからず貢献できることは言うまでもありません。科学技術によって、目の前にある問題をひとつひとつ改善していくことはとても重要なことだと思っています。その一方で、大げさな表現かもしれませんが地球規模での巨視的な観点から環境問題をとらえ、そのために何を為すべきかを考えることも大切です。
 第2次世界大戦後、朝永振一郎先生は、戦争をなくすために何を為すべきかを世界規模で考えるため国際会議を開催しました。一人ひとりの科学者がそれぞれの立場で活動することに加えて、機関や所属を越え多くの領域の研究者や技術者が集まり、地球規模で何ができるかといった意見を交換できる場が設けられることを期待しています。