創薬・医療技術基盤プログラム

ごあいさつ



ごあいさつ

プログラムディレクター 岡﨑 寛 (Ph.D.): おかざき ひろし


「特定の病態を制御しうるターゲット分子」、そして「そのターゲット分子を制御しうるモダリティー」、この二つの要素が揃った時に成立するプロセスが創薬です。「ターゲット×モダリティー」から生じたプロダクトが疾患の症状を改善し、さらには治癒に至ることが証明された時に、医薬品としての価値を獲得します。1980年代以降に発展した分子生物学は、単細胞生物~多細胞生物のシグナル伝達、生理的メカニズムを明らかにし、引いてはヒトの病態メカニズムを分子レベルで語ることを可能としました。「ターゲット」と「モダリティー」の二つの要素は、いずれも生体の分子メカニズム解明から生まれて来ています。感染症、がん、循環器疾患、免疫疾患、中枢疾患、代謝疾患等の分子レベルでの発症、進展メカニズム解明が進み、多くの創薬ターゲットが日の目を見る機会を得ました。そのターゲットを制御するモダリティー(創薬技術)も、長い歴史を誇る有機合成のみならず、遺伝子組み換えによるタンパク医薬、抗体医薬、核酸医薬、細胞・再生医薬、そしてゲノム編集技術へと進化して来ました。現在、創薬の世界は、たゆみない「ターゲット×モダリティー」の進化により、多くの新薬が生まれ、過去のアンメットニーズの在り方を大きく転換して来ました。成人病と言われる疾患の多くは、かなりの程度、制御可能な領域に入って来ています。とは言え、未だ対症療法に過ぎない場合も多く、個々人を見極め完全な治癒に至るレベルを理想とすれば、まだまだ満足出来るレベルには到達していません。また、モダリティーのバラエティーは増えましたが、病態に取って最適なレベルには程遠いと考えます。

創薬・医療技術基盤プログラムが果たす役割は、一言でいえば「ターゲット×モダリティー」の進化を理研のサイエンス&テクノロジーを梃としてさらに加速させることにあります。本プログラムは初代・後藤プログラムディレクターの下、2010年からスタートし、臨床ステージアップ/企業ライセンス 14件という大きな成果を上げています。低分子創薬、細胞・再生医療分野での成果もさる事ながら、新規モダリティーとして確立したアジュバンドベクター細胞 (aAVC) 技術は、今後の創薬に大きな影響を与える可能性を秘めています。2021年度よりバトンを引き継ぐ私は、新PDとして、以下の三点に着目して本プログラムを進めたいと考えています。①アンメットニーズは明確だが創薬ターゲットが未知でこれまでアプローチが難しかった疾患(希少疾患等)、②既に医薬品は存在しているが最適なモダリティーに至っていない疾患へのアプローチ(バイオプロダクトの低分子化等)、③新規モダリティー(創薬技術)の創出、この三点です。理研には、「ターゲット」と「モダリティー」の二つの要素を産み出すサイエンス、テクノロジーが溢れており、独自の着眼点を持ってこのパワーを創薬に向けて解き放てば、自ずから創薬のさらなる進化が実現出来るものと確信しています。


プログラム概要

創薬・医療技術基盤プログラムは、理研の各研究センターや大学等で行われる様々な基礎疾患研究から見いだされる創薬標的(疾患関連タンパク質)を対象に、各研究センターが設置する創薬基盤ユニットが連携して医薬品の候補となる低分子化合物、抗体等の新規物質を創成し、知的財産の取得を目指す創薬・医療技術テーマを推進すると共に、非臨床研究段階のトランスレーショナルリサーチである創薬・医療技術プロジェクトを支援しています。最終的には、これらを適切な段階で企業や医療機関に移転することを目指しています。

推進領域
1.低分子医薬領域
2.抗体医薬・ワクチン領域
3.細胞医薬・再生医療領域
4.創薬・医療技術基盤の構築のための開発整備



名称 理化学研究所 科技ハブ産連本部 創薬・医療技術基盤プログラム
発足 2010年4月1日
プログラムディレクター 岡﨑 寛 (Ph.D.)
目的 基礎研究から生まれたシーズを、製薬企業における創薬プロセスや、医療の現場で実際に活用される技術に最適化させるため、創薬及び医療技術のテーマ・プロジェクトとして推進する。具体的には、基礎研究で培われたすぐれたシーズを発掘し、理研の各センターなどに設置された創薬基盤ユニットや外部ネットワークを活用して最適化を図り、最終的に企業や医療機関にアライアンスすることを目標とする。



理研ニュース(特集)

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