計画研究 C01：

冷却原子を用いた量子制御

大規模量子系への拡張性に優れた「光格子」では、光学スペクトルを駆使した操作により単一原子および複数原子間の量子制御・検出を開発する。「アトムチップ」では、超伝導永久電流を用いる安定で周期構造の無いポテンシャルに捕捉した個々の単一原子を各々１つの量子媒体とする量子制御の実現を目指す。

本計画研究では、物理系として「冷却中性原子」を用いて、原子冷却技術を共通の研究基盤として、「光格子」と「アトムチップ」の二つの異なるアプローチから量子コヒーレント制御を目指し、量子計算および量子シミュレーションの実現につなげる。「光格子」を用いたアプローチでは、イッテルビウム原子等を対象として、安定な磁場勾配を光格子に印加する技術を新たに開発し、その光学スペクトルを用いた操作により単一原子および複数原子間の量子制御・検出を実現する。さらに、制御性が極めて高く、不純物や格子欠陥がない光格子系の特徴を最大限に生かして、固体物性研究において重要なハバードハミルトニアンによって表される強相関量子多体系の量子シミュレーションを行なう。

「アトムチップ」を用いたアプローチでは、超伝導アトムチップ上に捕捉した単一原子間の量子制御、および、将来的な光や超伝導との連携を考慮した量子制御の実現方法を創出する。両アプローチに必要となる、単一原子検出、原子移動、安定磁場勾配生成、などの共通の実験技術の開発を、メンバーの有機的な協力により、効率的に推進する。

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