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研究内容

研究項目B:分子スピン量子サイバネティクス

計画研究 B01:
分子スピン量子制御

大阪大学大学院基礎工学研究科・教授   北川勝浩

高Q共振器内で複雑に結合したスピン系を外場で制御して所望のユニタリー変換を高い忠実度で実現する「共振器ハミルトニアン工学」という新たな方法論によるパルス設計とその実験的検証を行う。また、単一スピン測定法の研究を行う。さらに、電子スピン・核スピン複合系の分子設計・開発とそのコヒーレント量子制御を研究する。

分子の核スピンや電子スピンは磁気共鳴の原理に基づく外場(共鳴磁場パルス)によって比較的自由に時間発展を制御でき、量子アルゴリズム(量子回路、ユニタリー変換)を実行することができる。しかし、古典計算を凌駕するほど大規模な量子計算機では、回路中を量子誤りが伝搬しないフォールトトレラント量子計算が必須で、そのために各量子ゲートの誤りをある閾値以下に抑える必要があり、分光学によって培われてきた磁気共鳴によるスピン制御もまだそのレベルには到達していない。そこで、本研究では、分子スピンによる高忠実度な量子回路の実現を目指して、共振器中の分子スピンに所望の共鳴磁場波形を印加して時間発展を精密に制御する「共振器ハミルトニアン工学」と呼ぶ新たな方法論を開拓する。さらに、フォールトトレラント量子計算には、単一スピンの測定が必要と考えられており、それを実現するために、近接場プローブや他の物理系(機械・光)との結合など、従来の磁気共鳴とは異なる原理に基づいたスピンの測定方法を開拓する。 また、分子の核スピンを比較的長時間の量子メモリーとし、電子スピンを高速の量子演算に用いるなど、新たな量子計算プラットフォームの創出を目指して、電子スピン・核スピン複合系のコヒーレントな制御の研究を行うとともに、これらに適した分子系の開拓を行なう。

詳細は「論文/出版物」ページをご覧ください。