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研究内容

研究項目A:固体素子系量子サイバネティクス

計画研究 A02:
半導体ナノ集積構造による量子情報制御・観測・伝送に関する研究

研究代表者/都倉 康弘 NTT物性科学基礎研究所・部長

半導体量子ドットを使った実験を、[制御]量子エラー訂正、[観測]量子相関測定に基づくベル測定観測、[伝送]オンチップでの量子情報伝送、の3目標を定め研究を進める。

半導体ナノ集積構造では高い設計自由度によって量子情報デバイスを集積することが可能であり、量子情報における制御工学・通信工学・観測問題の研究に適していると考えている。我々は、二重量子ドットによる電荷量子ビット(PRL 2003)や電子スピン量子ビット(Nature Phys 2008)によって1~2量子ビットの実験に成功しており、集積化構造を利用した電子スピンの相関測定(Science 2005)や高精度の電荷測定(Science 2006)を実現してきた。このような実績を基に、量子サイバネティクス(制御+観測+通信に関する物性実験)を探求する。具体的目標として、量子状態制御に関して、①量子ビットの多量子ビット化をはかり、量子エラー訂正によるデコヒーレンスの回復や電子スピン状態の移送などの実験技術を確立し、②g因子テンソルによるスピン状態制御の理論を構築する。量子状態観測としては、③電荷測定・容量測定の高周波化による高速量子ビット測定や、2量子ビットのベル測定技術を確立する。ある程度隔たれた量子ビット間の伝送技術を確立する目的で、③量子ホールエッジチャネルの波束(電荷・スピン)の伝送、④表面弾性波によるスピン伝送に関する実験を行うと共に、それらのデコヒーレンスなどの理論研究を進める。公募研究(実験・理論、各1件程度)では、新たな視点(材料・測定手法・理論)に立った発展性のある課題を推進したいと考えている。これらの研究により、半導体中の“電子”を媒体とする量子サイバネティクスを研究でき、機能的な量子情報デバイスの設計指針を得ることができる。

詳細は「論文/出版物」ページをご覧ください。