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研究内容

公募研究

公募研究 04(平成24年度採択):
シリコン量子ビット実現に向けた要素技術の開発と関連物理の解明

研究代表者/東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センター・助教 小寺 哲夫

量子ドットの電子スピンを用いた量子計算の研究は、これまでGaAs系量子ドットを中心に進められてきた。しかし、核スピンによるデコヒーレンスの問題、エレクトロニクス技術との適合性を考慮すれば、将来的にはシリコン系量子ドットへの展開が必要と考えられる。この研究展開をより速やかに進めるためには、GaAs量子ドットの技術や物理的知見をシリコン量子ドットに適用し、上手く融合させることが肝要である。本研究では、まずシリコン量子ドット素子の設計・作製を行い、素子評価として電気伝導度測定により単一電子状態を検出する。さらに、GaAs系量子ドットの経験を生かして、高周波電圧操作を用いてスピンの操作や読み出しを行う。

本研究ではGaAs系との物理的な対比を重視する。具体的には、シリコンに特有のデコヒーレンス要因の決定、トンネル結合や交換結合の変調範囲の決定を行う。単一量子ドットの磁場依存性を測定することにより、シリコン系に特有な電子状態を明らかにする。また、二重量子ドット素子を用いて、トンネル結合を制御し、スピンブロッケード現象の観測を行う。シリコン系では、スピンブロッケード領域の微小電流の磁場依存性がGaAs系とどのように異なるかに着目し、バンド構造にバレーを有するシリコン量子ドット特有の電子スピン緩和要因を議論する。また、要素技術として、単電子状態を高精度に制御でき、かつ、ノイズを抑え、安定的に動作するシリコン量子ドットを作製する。さらに個々の電子スピンにアクセスするための高周波操作・読み出し法を開発する。

詳細は「論文/出版物」ページをご覧ください。