設立の経緯
本委員会は、昭和61年に故難波進大阪大学教授を中心に、「極限構造電子物性」第151委員会として設立されました。当時は、半導体の微細化がどんどん進んでおり、一方、半導体物理学では江崎玲於奈博士が考案された半導体超格子や量子井戸の研究が大変盛んなときでした。そこへ、微細加工を利用した微小な構造の電気伝導に電子の波としての効果が発見され、それはメゾスコピック物理とい う新しい分野の幕開けとなりました。
今から振り返ると、これが、現在のナノサイエンス・ナノテクノロジーの黎明期になっていると思われます。現在では、ナノテクノロジーは物理学にとどまらず、材料科学、化学、バイオなど別の分野と融合し、新たなイノベーションの種となりうる学際的な研究・開発分野となっています。
概要
本委員会は、平成13年より「未踏ナノデバイステクノロ ジー」(委員長:青柳克信・東京工業大学教授)と名称を変え、さらに、平成23年からは「先端ナノデバイス・材料テクノロジー」(委員長:石橋幸治・理化学研究所主任研究員)と名称を再度修正し、ダイナミックに変化を遂げるナノテクノロジーをエレクトロニクスの観点から研究を行っています。
本委員会には、ハイスループットナノ材料分科会(主査:鯉沼秀臣・東京工業大学名誉教授)、ナノバイオフュージョン分科会(主査:庄子習一・早稲田大学教授)をもうけ、ナノテクノロジーの材料科学とバイオ分野への発展も視野に入れています。活動は会員による非公開形式で、年4回の研究会、各分科会の年2回の研究会やスクールのほか、公開のシンポジウム、国際シンポジウム、などの活動を行っています。主な研究テーマは以下の通りです。
研究テーマ
- ナノと電子
- サブ10nm級ナノデバイス、超微細シリコントランジスタ
- 単電子デバイス、単分子デバイス
- 量子コンピューティングデバイス
- 電子スピン・核スピンデバイス
- 新メモリデバイス(MRAM, RRAM, PRAM等とその原理)
- 新ロジックデバイス(量子ドット・分子セルオートマトン等)
- 有機トランジスタ、薄膜トランジスタ
- ナノエレクトロメカニカルシステム、電子放出デバイス
- 燃料電池
など
- ナノと光
- 量子ドットとその光デバイス(レーザー、太陽電池など)
- フォトニック結晶
- プラズモニクス、メタマテリアル
- 有機発光デバイス
- 太陽電池、光触媒
など
- ナノと計測
- ビーム計測技術
- 走査プローブ技術
- シンクロトロン放射光計測
- テラヘルツ計測
- プラズモン計測
など
- ナノと材料
- ナノ複合材料
- 強相関材料、酸化物材料
- 有機材料、自己組織化材料、高分子機能材料
- ナノカーボン材料(カーボンナノチューブ、グラフェン)
など
- ナノバイオ
- マイクロTAS(Total Analytical System)
- バイオセンサー(プラズモン、FETなど)
- バイオコンジュゲート、DDS
- ナノ構造作製技術への応用
など