タンパク質・核酸・多糖類などの生体高分子、液晶や両親媒性分子、コロイドなど、大きな内部自由度を特徴とする有機物質は、ソフトマターと総称されます。これらソフトマターが形成する界面は、外部からの刺激によって構造や性質が大きく変化するソフトな特性をもちます。この動的な界面をソフトインターフェース(ソフト界面)と定義しました。
ソフト界面は溶媒やイオンや基質が介在する3次元的に厚みのある境界領域であって、その性質は単なる2次元界面ともバルクとも異なっています。すなわち、溶媒やイオンやゲスト分子との相互作用を通じて動的に構造や性質を変化させるという点、さらにこの動的変化が意味のある「仕事」となること、つまり「分子鎖」が仕事をする領域であるという点がその特徴です。
ソフト界面は生物機能の多様性を支える源になっているばかりでなく、医療を支えるバイオマテリアルやバイオデバイスなどの性能を支配する重要な因子であります。しかし、その分子レベルの研究はほとんど進んでおらず、しばしば従来の知識では理解できない不思議な現象がみられます。たとえばバイオマテリアルやバイオチップにおいて界面の重要性は広く認識されているものの、生体高分子、高分子電解質、イオン種、水分子などが複雑に関与するため、未解明の問題が数多く存在します。しかし近年、ソフト界面の精密設計・制御やその特性解析・物性評価について独創性の高い研究が急速に進んできました。
本領域研究では、精密なソフト界面の創成とその特性解析を行い、界面が関与する不思議な現象・物性を解明しつつ、ソフト界面の特性を活かした機能材料の開発を進めることにより、新たな融合学術領域を創成することを目的としています。ソフト界面に関わる先導的研究や若手研究者による挑戦的研究を糾合して本領域を組織することにより、ソフト界面が示す不思議な現象が次々に解明され、その特性を活かした新機能材料が創出されることを期待しています。皆様のご支援とご指導をお願いいたします。 |