ソフトインターフェースの分子科学
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【領域事務局】
筑波大学物質工学系
長崎 幸夫

[連絡先]
「ソフトインターフェースの分子科学」事務局
softinterface@nagalabo.jp
Tel:029-853-5749
Fax:029-853-5750
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領域代表者あいさつ

独立行政法人・理化学研究所・主任研究員
基幹研究所・前田バイオ工学研究室

前田 瑞夫

 タンパク質・核酸・多糖類などの生体高分子、液晶や両親媒性分子、コロイドなど、大きな内部自由度を特徴とする有機物質は、ソフトマターと総称されます。これらソフトマターが形成する界面は、外部からの刺激によって構造や性質が大きく変化するソフトな特性をもちます。この動的な界面をソフトインターフェース(ソフト界面)と定義しました。

 ソフト界面は溶媒やイオンや基質が介在する3次元的に厚みのある境界領域であって、その性質は単なる2次元界面ともバルクとも異なっています。すなわち、溶媒やイオンやゲスト分子との相互作用を通じて動的に構造や性質を変化させるという点、さらにこの動的変化が意味のある「仕事」となること、つまり「分子鎖」が仕事をする領域であるという点がその特徴です。

 ソフト界面は生物機能の多様性を支える源になっているばかりでなく、医療を支えるバイオマテリアルやバイオデバイスなどの性能を支配する重要な因子であります。しかし、その分子レベルの研究はほとんど進んでおらず、しばしば従来の知識では理解できない不思議な現象がみられます。たとえばバイオマテリアルやバイオチップにおいて界面の重要性は広く認識されているものの、生体高分子、高分子電解質、イオン種、水分子などが複雑に関与するため、未解明の問題が数多く存在します。しかし近年、ソフト界面の精密設計・制御やその特性解析・物性評価について独創性の高い研究が急速に進んできました。

 本領域研究では、精密なソフト界面の創成とその特性解析を行い、界面が関与する不思議な現象・物性を解明しつつ、ソフト界面の特性を活かした機能材料の開発を進めることにより、新たな融合学術領域を創成することを目的としています。ソフト界面に関わる先導的研究や若手研究者による挑戦的研究を糾合して本領域を組織することにより、ソフト界面が示す不思議な現象が次々に解明され、その特性を活かした新機能材料が創出されることを期待しています。皆様のご支援とご指導をお願いいたします。



新学術領域「ソフト界面」後半に向けて    2011.06.16

 このたびの東日本大震災で被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。本領域のメンバーにも多数の被災者が居られます。一日も早い復興を祈念いたしますとともに、個人としても領域代表としても出来る限りの協力をいたしたいと考えております。
 平成20年12月に発足した当領域も、早いもので4年目に入りました。後半に入る機会に文部科学省において平成23年度の公募研究の募集・審査が行われ、本年4月に25件の採択が発表されました。このうち13件は新しい課題であり、本領域に13名の公募研究者を新たにお迎えすることになりました。これらにつきましては本ニュースレターに研究紹介がございます。研究代表者の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
 一方、平成21・22年度から継続の公募研究は12件です。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。しかし、このうち2件は最先端・次世代研究開発支援プログラム(2 月10日発表)に採択されているため辞退手続きが進んでいます。また1件は特別推進研究の採択に伴い分担者として辞退を余儀なくされています。したがって継続の公募研究は9件となりますが、辞退された枠については補欠候補繰り上げの可能性があります。さらに21・22年度の公募研究者から他に3件の最先端・次世代プログラムが採択されています。まことにご同慶の至りであり、領域の研究者として大変誇らしく思っております。
 なお平成21・22年度の計画研究代表者であったが、これら様々な要因で後半は参画されないことになった研究者の皆さまには、引き続き当領域の発展にご協力をお願いいたしたく、本領域独自に設定した制度である「連携協力者」への就任をお願いいたしましたところ、皆様にご快諾をいただきました。「連携協力者」は公開シンポジウムだけでなく一般にはクローズされている領域会議へもこれまで同様に参加が可能です。ポスター発表もしていただけます。平成21・22年度の研究成果はもとより、それがもととなって生まれた成果も、最終の領域成果報告のなかに盛り込ませていただきますので、引き続き深いお付き合いをお願いいたしたく存じます。なお大学・公的機関の連携協力者には必要に応じ、また予算の許す範囲で、領域会議への旅費の補助をいたしたく、JMC事務局もしくは領域事務担当の長崎先生にご相談いただければ幸いです。
 一方、評価委員の梶山先生から、産業界研究者のご意見や情報を取り入れることの重要性を指摘いただき、また若い研究者と産業界との交流の必要性も併せて強調されておられますことから、この「連携協力者制度」をこれまで本領域の公開シンポジウム等に熱心に参加して下さっている企業研究者の皆さまにも広げることとし、お願いをいたしましたところ、15社15名の方々にご協力いただけることになりました。これら連携協力者の皆さまには非公開の領域会議にもご参加いただき、産業界の視点から助言をしていただくこととしています。ソフト界面の科学は、教科書的基礎と実学的応用のあいだをつなぐ「基礎研究」であると位置づけられると思います。交流の実があがることを期待しております。

 さて、本領域を含め、平成20年度発足の新学術領域研究21領域が、昨年9月に中間評価(5年間の3年目)をうけました。21領域のうちA+評価が3件、A評価が17件、B評価は1件となっています。当領域に対する評価はA、コメントは以下の通りですので転記してご紹介します。大変好意的な評価であり、皆さまのご尽力のおかげと感謝しています。一方でプレゼンした立場から申しますと、学術的成果の目玉がもう一つ二つあると有り難かったところですが、これは贅沢というべきでしょう。成果の最終とりまとめに向けて、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。皆様のご研究の発展を祈っています。

A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる)
 本研究領域は、ソフト界面の科学の新しい学理領域の確立を目的とし、生体分子を規範とした高分子の合成や機能創成に向けた研究を展開している。ユニークな高分子界面の特異性を学理的に解明、操作を行う側面と、そのソフト界面の興味深い機能を活かした応用に結び付けるためのシーズ発現という側面がターゲットである。非常に複雑であるにも関わらず、シーズとなり得る意義のある研究成果が蓄積されており、目的達成に向け、着実に良好な進捗を示している。
 本研究領域は、合成、分子計測、分子認識の3つの研究項目から構成されており、領域代表者のリーダーシップの下で力量のある研究者が揃っている。各研究グループはもとより、研究領域内での個々の共同研究も積極的に推進されており、研究者間の連携が有効に機能している。また、研究成果の公表は論文や特許、シンポジウムやワークショップの開催、書籍出版等幅広く取り組まれており、評価できる。さらに、研究領域内において、研究分野の枠組みを超え、若手研究者のための新しいスタイルの研修コースを設立し、若手研究者の育成を含め、将来展望を柱とした運営指針は評価すべき点である。今後もさらに研究領域を発展させ、新しい概念としてのソフト界面研究領域の確立のための展開を期待する。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/chukan-jigohyouka/1301253.htm


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