概要

多細胞生物は、外界からのシグナルを受け取り、シグナル伝達機構、転写因子の活性化を通じて、種々の生物学的機能を発揮します。当研究室では、哺乳類の免疫応答機構がどのようなシグナルで制御されているかを、抗原提示細胞、樹状細胞に焦点を当てて、分子、細胞、個体の種々のレベルで研究を展開しています。

研究内容

現在、研究室では、哺乳類の生体防御機構、特に、自然免疫と獲得免疫との協調作用を担う、樹状細胞に興味を持って研究を進めています。自然免疫は、ショウジョウバエから哺乳類まで保存されたシステムで、病原体を認識し、種々のサイトカインを産生することにより、病原体の迅速な排除に関与しています。また、T細胞の活性化、分化の方向付けをすることにより、獲得免疫の樹立にも必須の役割を果たしています。樹状細胞は、この一連の過程に必須の抗原提示細胞で、微生物由来の種々の成分(免疫アジュバント)を、Toll様受容体(TLR)を含む、種々の受容体を介して認識することにより機能します。この機構は感染や腫瘍に対する生体防御に必須ですが、バランスが崩れると、アレルギーや自己免疫など種々の病態も引き起こします。この機構を解明することにより、新たな免疫制御手段の獲得に結びつく成果が期待されます。我々は、種々の免疫アジュバント、遺伝子改変マウスを用いて、樹状細胞活性化機構に関与する機能分子を明らかにし、免疫応答を制御する手段の獲得を目指しています。

核酸刺激樹状細胞におけるI型インターフェロン産生制御機構




Research