当ユニットでは、以下の研究枠組みでの研究・支援事業の一環として、ハイスループットスクリーニング(HTS)に取り組んでいます。


  • 1) 理化学研究所 創薬・医療技術基盤プログラム(DMP)
  • 2) 日本医療研究開発機構(AMED) 次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE)
  • 3) 文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「ケモテクノロジーが拓くユビキチンニューフロンティア」
  • 4) その他、共同研究

 各種研究テーマでHTSにより目的とするシード化合物を探索するためには、取得したい化合物像を明確にしたうえで、使用する材料や測定指標などを考慮した最適なアッセイ法を設定する必要があります。私たちは、研究テーマを立案した先生方とともに、標的分子のファミリーや種類、標的表現型の情報を基に、インビトロのセルフリー系または細胞系のいずれかのアッセイ系を選択して構築しています。アッセイ系の構築においては、(1) 独創性(originality)、(2) 生理学的妥当性(physiologically relevance)、(3) 再現性(reproductivity)の3点を重視し、疾患治療を意識し、かつ競争力のあるHTSを実現できるよう、研究者の先生方とともに知恵を絞っています。

 HTSは384ウェルフォーマットを基本に行っていますが、96ウェルから1536ウェルマイクロプレートまでを使用するHTSに対応しています。多種なアッセイ法でHTSに対応できるよう、各種実験機器を取り揃えています(図3)。化合物の微量分注では、Echo655やEDR-384UXを目的に応じて使い分けています。マイクロプレートでのアッセイの測定では、ハイコンテントスクリーニング用のイメージアナライザーOpera、ハイエンド型のマルチプレートリーダーとしてEnVisionやSynergyNeo2など、qPCR装置などを活用して、測定指標に応じた定量的な評価を行います。また、数万から数十万の化合物評価では、HTSから生じるデータは膨大な量になります。私たちは、Genedata社のScreener® やインフォコム社のKNIME、PerkinElmer社のSpotfire®などを活用することにより、高速かつ的確なデータ解析を行い、目的とする化合物を選抜しています。

図3

 また、HTSによりヒット化合物を取得した後には、ヒット化合物に対して、生化学的手法やマイクロスケール熱泳動MST(Dianthus)、SPR解析(Biacore T200)や等温滴定型カロリメトリー解析によるターゲット分子との物理的結合解析などを実施します。これらの解析を通じて、ヒット化合物の中から「真のヒット化合物」を同定します。さらに、これらの解析技術を活用し、リード化合物候補の選定を目的としたヒット化合物のプロファイリングにも貢献します。

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