当ユニットは、理化学研究所の創薬・医療技術基盤プログラム(DMP)において研究開発を支える創薬・医療技術基盤のひとつとして、環境資源科学センター(CSRS)内に設置されています。私たちは、特に創薬研究の初期段階を担う基盤として、ハイスループットスクリーニング(HTS)の手法によりシード化合物を発見することを主務としています。
創薬研究や医療技術開発は、様々な研究室で行われる基盤研究を臨床応用へと結び繋げるまでに、非常に多くの検討が必要であり、長い年月を経て進められます。これらの研究開発には、幅広く、深い知見や技術が求められるため、高い技術に裏付けられた優れた研究実績を有するDMP内のユニットが密に連携して取り組んでいます。例えば、特定の疾患に対する治療薬の創製を目指す創薬研究においては、その病態に起因すると想定される酵素などの分子や、疾患に関連する細胞表現型を標的として、生理活性作用を適切に調節する化合物を探索します。この過程において、私たちのユニットでは、標的分子または標的表現型に対するアッセイ系を確立して、多検体評価に向けたハイスループット化を施し、数万から数十万規模の化合物のHTSを実施することによりヒット化合物を選抜しています。また、HTSによって見出されたヒット化合物の評価による真のヒット化合物の確定、ヒット化合物のプロファイリングによるリード化合物候補の選定にも貢献しています(図1、図2)。究めることの楽しさを味わいながら新しい概念形成を目指した基礎・応用研究を進めていきたいと考えています。
図1
図2
一方で、近年では治療薬として抗体などのタンパク質や核酸が用いられるようになり、創薬研究も幅広いモダリティーへの対応が求められています。当ユニットは、2010年のDMP設立時には低分子化合物ライブラリーを対象としてシード化合物を見出すことを目的として設置されましたが、現在では多検体をハイスループットに評価するといったコア技術を基に、抗体や中分子など新たなモダリティーからの探索にも取り組んでいます。