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理化学研究所 光量子工学研究センター


教師付き細胞内観察画像データ

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細胞内画像処理・細胞内画像パターン認識分野発展のために、細胞内観察画像の教師付きデータを公開します。本データは、科研費新学術領域研究:細胞内ロジスティクス(2008年度~2012年度)と共催で実施した精密工学会画像応用委員会主催のアルゴリズム・コンテスト(アルコン)にて2010年-2012年に課題として使用されたデータです。教育・研究目的での使用に限ります(各Dataの使用にあたってはCopyright.txtに御留意ください)。

メラノソーム輸送の追跡

光学顕微鏡タイムラプス観察画像例
メラノソーム輸送
(東北大学 福田光則 先生提供)


以下のデータは東北大学 福田光則 先生提供の正常及びGriscelli症候群メラノサイトにおけるメラノソーム輸送の明視野顕微鏡観察画像です。その動態パターンの自動認識・解析が求められています。福田先生には定量解析の学術意義として下記説明文を頂きました。

メラノサイトにおけるメラノソームの動態:メラノソームはメラニン色素を含むため、明視野顕微鏡での観察が可能であり、一つ一つの動きを追跡する事が出来ます。これまでの研究では細胞骨格に沿ったメラノソームの移動速度として計測される事が一般的です。例えば文献[Wu et al. J. Cell Biol (1998) 143:1899-1918]ではメラノサイトの細胞内に存在する一部のメラノソームを追跡しその動きをトレースするとともに、移動速度を測定しています。メラノソームの輸送障害はヒトやマウスの色素異常を引き起こす事が知られており、病態発症の理解という観点からも(正常細胞と病態細胞における)メラノソーム輸送動態の解析は当該研究分野における重要な研究課題です。

オートファゴソー厶の検出・分類

共焦点レーザー顕微鏡2次元観察画像例
オートファゴソー厶
(大阪大学 吉森保 先生提供)


以下のデータは大阪大学 吉森保 先生提供のオートファゴソームマーカーのGFP-LC3を共焦点レーザー顕微鏡で観察した画像です。飢餓処理により形成されるオートファゴソームの輝点位置を自動計算し、そのオートファゴソー厶がどの細胞に属しているかを分類する事が求められています。吉森先生には定量解析の学術意義として下記説明文を頂きました。

オートファゴソームマーカーのLC3の間接蛍光抗体法やGFP-LC3イメージングで、オートファゴソーム数の定量を行っています。LC3は2つのフォームがあり、LC3-Iは細胞質に拡散しており、LC3-IIがオートファゴソーム膜に結合します。オートファゴソームはLC3の輝点(ドットないしリング)として確認されるので、オートファジーの亢進や抑制はLC3の輝点の数を数えることで定量されます。しかし、細胞質のLC3-Iの存在によりバックグラウンドが比較的高い、種々の理由でオートファゴソームではない小さな輝点や大きな輝点も現れる場合がある等の理由により、従来のソフトウェアでは自動検出が困難なので現在は目で見て数えています。自動的にオートファゴソームの輝点数を定量出来れば、データの客観性が増し大量のデータを迅速に数値化することが可能となります。


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