研究内容

私たちのグループは、計算機や数理的手法を用いて、生命現象に取り組んでいます。特に多量の情報を統合して高次生命現象を理解する場合や、時空間中にパターンが展開する形態形成現象を理解するうえで、数理的手法は有効だと考えています。

現在の研究内容

植物の発生を司るオーキシンパターン形成

植物ホルモンの一つとして知られるオーキシンは植物組織中でパターンを形成します。

それらのパターンは脈構造パターンとスポットパターンという二つに大別されます。

それぞれのパターンは葉脈の形成や花や葉ができる位置の決定といった多様なプロセスにおいて必須の役割を果たしていますが、その形成メカニズムはわかっていません。

オーキシンのパターン形成にはPINFORMED(PIN)というオーキシンの排出キャリアタンパク質が重要であると考えられています。私たちはオーキシンとPINの具体的な相互作用を考え、複数の数理モデルを構築しました。さらに、それらの性質を数値計算や数理解析を用いることでパターン形成のメカニズムやその多様性について調べています。

モデル解析の結果から葉脈を形成と花や葉ができる位置の決定の基本的なメカニズムは共通であり、植物はわずかな変化によりそれらに対応するパターンを切り替えることができるのではないかということがわかってきました。

数値シミュレーションの結果例

数値シミュレーションの結果例

(a)スポットパターンと (b) 脈構造パターン。