研究内容

私たちのグループは、計算機や数理的手法を用いて、生命現象に取り組んでいます。特に多量の情報を統合して高次生命現象を理解する場合や、時空間中にパターンが展開する形態形成現象を理解するうえで、数理的手法は有効だと考えています。

過去の研究内容

葉脈ネットワーク

葉脈は馴染み深いパターンですが、その形成メカニズムはまだ明らかではありません。葉脈形成の代表的な仮説である運河モデルでは、以下のように説明します。 「シグナル分子であるauxinの流量の大きい細胞が、さらに流れやすい性質を獲得するならば、シグナル分子の移動にしだいに偏りが生じる。 そしてシグナル分子の流量がある程度以上に達した細胞が、葉脈に分化する。」実際にauxinの輸送に積極的に関わる蛋白質が、見つかっています。 この分子の細胞内での分布を取り込んだ数理モデルを構築し、解析しました。数値計算を行うと、伸長と分岐の繰り返しにより、葉脈が作られます。 一方で、葉脈は葉全体にわたり、ほぼ等間隔に分布する秩序を形成します。葉の形や細胞分裂の仕方を変えることで、多様な葉脈パターンが再現できます (Fujita, H. & Mochizuki, A. (2006) The Origin of the Diversity of Leaf Venation Pattern. Dev. Dyn. 235, 2710-2721. Fujita, H. & Mochizuki, A. (2006) Pattern formation by the positive feedback regulation between flow of diffusible signal molecule and localization of its carrier. J. theor. Biol.241, 541-551.)。

ベゴニア

ベゴニアで見られる様々な葉脈と、計算機シミュレーションによる再現。花びらで見られる平行脈も、再現できている。(画像をクリックすると拡大されます)