Hirao research group

 人類を取り巻く自然界や人工物は,原子,分子,イオンが織りなす巨大な物質系から構成される壮大な物質・生命の世界です. 「化学」とはこの世界を,分子,クラスターレベルで探求,研究する学問です.最先端のテクノロジーの進歩は,化学の力に大きく依存しています.

 「理論化学・量子化学」は,バイオ・ナノテクノロジー,半導体,エレクトロニクス,医薬学,環境問題,農学などの発展に対して,幅広く寄与する基盤技術です.



理論化学は、ここ10年ほどの間に、定性的理論から理論計算に基づく定量 的理論へと大きな進歩と変革をとげてきました。わたしたちの研究室では、定量的理論化学の成果を基礎に、電子状態理論や分子動力学を利用し、化学反応 をはじめとする種々の化学現象を微視的レベルで解明するとともに、その制御 理論を確立し、理論化学に先導された分子工学(分子設計、反応設計など)の 新しい展開をめざしています。

理論化学は、量子力学のシュレディンガー方程式を出発点とし、
その方程式にさまざまな近似概念を導入し理論体系を構築しています。
平尾研究室では、主に以下の4つの領域において研究、開発を行ってます。

【 各項目をクリックしてください 】

ab initio 分子軌道法
密度汎関数法(DFT)
相対論的量子化学
計算機化学


1981年,京都大学の福井教授が,理論化学に対する業績でノーベル化学賞を受賞されました.福井教授の提唱した「フロンティア軌道理論」では,電子の波動を表す「分子軌道」のHOMOとLUMOの相互作用を用いて,反応のメカニズムをみごとに説明し,化学に大きなブレークスルーを引き起こしました.
 
故・福井教授 

Diels-Alder反応における,分子軌道HOMO-LUMO相互作用



理論化学者の努力により,現代では実験結果を定量的に再現する程度の,より高精度な分子軌道計算が実現されるようになってきています.(下図)






図・理論化学のアプローチ