二国 徹郎 氏(東京理科大学理学部物理学科)
「希薄ボーズ気体における集団スピン運動」

 二準位原子からなるボーズ原子気体はスピン1/2の内部自由度をもつボーズ気体とみなすことができる。スピン1/2の自由度を持つ希薄気体としては偏極水素気体などが知られていたが、このような系では平均相互作用による集団スピン波モードが伝播しうる。最近コロラド大学(JILA)の実験グループによって、磁気的にトラップされた希薄Rb-87原子気体における集団スピン振動がボーズ凝縮温度より高い温度領域で観測された。本講演ではJILAの実験を記述する運動論を紹介し、我々の理論計算と実験データの比較を行う。最後に、この研究の超流動相への拡張について議論する。