古賀 昌久 氏(大阪大学大学院工学研究科)
「直交ダイマー系における量子相転移」

 1999年発見された$\rm SrCu_2(BO_3)_2$は、特徴的な直交ダイマー構造により非磁性の基底状態が安定化され、幅の狭い分散や磁化プラトーなどの様々な特異な振る舞いが観測されている。さらに最近、$T_{\rm N}=2.4K$において反強磁性相転移を起こす直交ダイマー系$\rm{Nd_2BaZnO_5}$$(J=9/2)$が合成され、フラストレート系における$ 量子スピン(S\geq 1/2)$の効果が注目されている。ここでは、これらの物質の磁気的性質を記述する二次元Shastry-Sutherland模型に注目し、基底状態の相図について議論する。