研究テーマ
研究テーマ
細胞表面の受容体(緑)に結合した上皮成長因子(マゼンタ)は、細胞応答を誘導しながら細胞内に取り込まれていく。
私達が現在主要な研究対象としているのは、RTK-Ras-MAPKシステムと呼ばれる一群の細胞内情報処理蛋白質反応ネットワークです。このシステムは、ほとんど同一の反応ネットワークを利用して、細胞増殖・増殖抑制・分化・アポトーシス・癌化といった異なる運命を細胞にもたらします。この情報処理ネットワークは細胞極性の形成や細胞運動の方向決定にも利用されています。
私達は、RTK-Ras-MAPKシステムを材料として、以下のような研究・開発に取り組んでいます。
研究テーマ一覧

1. 細胞内情報伝達システムの1分子解析
1分子計測は生物反応の分子機構を探る強力な方法です。1分子計測によって、生きている細胞の中でも、分子の数や分布・運動、反応速度、分子の状態、そして、それらの値の細胞毎の違いや時間的変動を測ることができます。

2. 細胞内反応ゆらぎとその伝達に関する研究
人工機械はゆらぎの影響を受けないように設計されていますが、細胞内の反応は熱ゆらぎや数のゆらぎの影響を大きく受けながら進行しています。反応ゆらぎの大きさや性質を知ることで、生物反応のひみつが解けてくるかもしれません。

4. 細胞情報処理システムの再構成
生物システムを単純化したモデルを試験管内あるいは計算機内に再構成することは、複雑なシステムを理解するためのひとつの方法です。また、生体反応を模したナノマシンをつくるための出発点でもあります。