画像情報処理研究チーム, 光量子工学研究領域, 理化学研究所


外観検査アルゴリズムコンテスト2016の結果



ViEW2016ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子

パシフィコ横浜にて2016年12月8日-9日に開催されたViEW 2016にて、細胞内観察画像の「変身する細胞を追え!」(データ提供:宮脇 敦史 先生、 沢野 朝子 先生、理研 )を対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2016 (156名エントリー)の結果発表・及び優秀賞・レゾナンスバイオ賞の表彰が行われました。本コンテストは,精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催し,文部科学省科 学研究費補助金 新学術領域研究 「共鳴誘導で革新するバイオイメージング (レゾナンスバイオ)」が共催して開催されたコンテストです。本コンテストで用いた入力の画像データは公開予定です。


本レゾナンスバイオ(大)賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、レゾナンスバイオに有用であろうロバスト性を4種類の順位(正解率、各正答データの難易度を加味した順位:参加者全体の正解率の逆数で各データの点数を重み付けした順位、参加者の全データに対する得点の分散で正解率を割った点数の順位、重み付け+分散)により採点し、また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に広島大の栗田先生及び中京大の輿水先生に審査して頂いた結果を基に選考をしております。以前の細胞内画像を用いたコンテスト(アルコン2010-2012)とは異なり、今回初めて画像応用技術専門委員会とレゾナンスバイオの受賞者が一致しましたが、それぞれ独立に審査しております。

レゾナンスバイオ大賞・賞受賞者の方々. 左から、 藤田氏, 渡邉氏, 尾河氏, 長安氏, 近藤氏 (ファースト)、菅野氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ)、 橋本氏、永田氏 (みずほ情報総研). 


課題「変身する細胞を追え!」 (データ提供:宮脇 敦史 先生、 沢野 朝子 先生、理研)

審査委員講評

  • 「藤田 大 氏ら、ファースト」:提案手法は,適応的二値化により細胞を抽出し,抽出した細胞を,距離,細胞状態の時系列遷移パターン,およびボロノイ図を用いて定義した尤度を利用して追跡している.細胞の撮影環境の変動や蛍光の変化に対応するための工夫や粗い探索による細胞核の統計量の計算などの工夫により,全ての評価方法で1位の成績であった.課題の本質を上手く捉えて,効果的な解決策を提案している点が高く評価できる.
  • 「菅野 純一 氏、ヴィスコ・テクノロジーズ」: 提案手法は,輝度微分と幾何に基づくエネルギー最小化により細胞を抽出し,多段フレーム予測を用いて追跡を行なっている.全ての評価方法で2位の成績であった.細胞分裂に伴う色変化パターンを自己組織化マップを用いて学習し,その結果を追跡に利用するなど,課題の複雑さに対して手法がやや凝りすぎていると言えなくもないが,逆に,凝った手法を上手く使いこなしているという意味で評価できる.
  • 「橋本 大樹 氏ら、みずほ情報総研」:提案手法は,適応二値化により細胞を抽出し,細胞候補領域の重心を用いて追跡を行なっている.追跡性能を向上させるために,未検出の時刻での細胞領域を前後の時刻から推定する工夫を取り入れている.シンプルな手法の組み合わせで,課題を効果的に解決する手法を提案している点が評価できる.なお,全ての評価方法で3位の成績であった.

  • 審査委員:
    • 栗田 多喜夫 (広島大学)
    • 輿水 大和 (中京大学)
    • 理研レゾナンスバイオ横田班: 横田 秀夫、吉澤 信、竹本 智子


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