Research Overview

 生体膜の基本構造である脂質二重層構造は、たった1種類の脂質分子を用いただけで再現することができる。それにもかかわらず、自然界には数千の脂質分子が存在している。
異なった生物、異なった臓器は特徴的な脂質組成を示し、また、異なった細胞は異なった脂質組成を持っている。脂質組成は、オルガネラ間でも違っており、さらに生体膜の脂質二重層の内層と外層の間でも、脂質組成は異なっている。形質膜の外層だけを見ても、脂質は決して均一に分布しているのではなく、特定の脂質によるドメインが形成されていると考えられる。

 このような脂質の特徴的な分布には、それぞれの脂質の合成、分解、輸送、拡散の動的平衡の上に維持されている。なぜこのような複雑な脂質組成、分布を選択したかについては、明確な回答はえられていないが、最近注目されている一つの答えは、脂質ラフトに代表される脂質超分子集積の再発見である。ここでは、特定の脂質が集積すること自体が、細胞の機能に直結する。言い換えれば、膜の構築そのものが機能を持っている。

 本研究室は、脂質超分子構造のアッセンブリーのメカニズム、構成脂質の動態及び機能を明らかにし、さらに超分子構造の再構成による新しい機能素子の開発を目的としている。

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*RIKEN NEWS 2008年9月号で研究内容が紹介されました

研究最前線
  ”コレステロールの機能を探り、メタボリック症候群の克服を目指す"

    

*理研ブログ(2008年7月10日)には、取材の様子の書き込みがありますhttp://www.riken.jp/r-navi/blog/