個別研究内容紹介
界面選択的非線形レーザー分光
普通の温度では水は液体で、冷やせば固体の氷になり、熱すれば気体の水蒸気になる,ということは誰でも知っています。 これら3つの状態 (相といいます:気相、液相、固相)において、水の分子がどのような構造をとっているかは、赤外分光、ラマン分光、X線回折、電子線回折などの方法によって研究されていて、もう50年以上前から大体のところがわかっています。
さて、2つの相が共存していると、その間には相と相を隔てる「界面」と呼ばれる領域が必ず存在します。 この界面には、それ以外の領域(バルクといいます)には無い面白い性質があり、広く注目されています。 しかし、例えば、界面で水の分子がどういう構造をとっているかがわかってきたのは、実はここ10年ほどのことです。
この界面の分子構造の研究方法の中で、最も重要なものが「偶数次の非線形レーザー分光」という方法です。 これは、界面とバルクをその対称性によって見分ける、とても巧みな方法です。
我々のグループでは、ユニークで新しい偶数次非線形レーザー分光法を開発して、色々な界面での分子の構造やダイナミクスを研究しています。この研究によって、新しい界面の科学を切り開こうと考えています。

ヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置
界面の分子の振動スペクトルを高感度に測定します.界面の分子構造と絶対配向を決定できる,世界に一台しかない装置です.

ヘテロダイン検出振動和周波発生分光装置によって得られる界面の水のスペクトル
このデータは,界面の水分子の水素結合構造や“上下”の向きを表しています.

ヘテロダイン検出電子和周波発生分光装置
界面の分子の電子スペクトルを高感度に測定します.界面の分子の電子構造と絶対配向を決定できる,世界に一台しかない装置です.
