マイクロチップによる遺伝子の簡易診断


遺伝子の個人差は、近い将来、病気の予防と治療のために重要な情報となります。とりわけ、一つの塩基が入れ替わったものは出現頻度が高く、一塩基多型(SNP)と呼ばれます。当研究室では、こうした遺伝子の違いを迅速かつ高感度に検出する方法を開発しています。ここでは二つの独自技術、自律型マイクロチップとアフィニティー電気泳動を利用した新しいSNP解析法をご紹介します。

 

microDNA

Fig 1. 自律型マイクロチップによる電気泳動

 

自律型マイクロチップはPDMSというシリコーンラバーを型成形して作ります。PDMSが持つガス溶解性を利用すると、分離用ポリマー溶液と試料の界面を流路内で自動的に形成することができます。アフィニティー電気泳動の場合は、ポリマー鎖に短いDNAをあらかじめ固定化しておきます。ここに泳動されてきた試料DNAは、固定化DNAにトラップされて濃縮された後、親和性のわずかな差に基づいて分離されます。この方法で、60塩基の試料DNAを100倍以上に濃縮し、一塩基の入れ替わりを検出することができました。

 

microDNA2

Fig 2. (a) アフィニティー電気泳動の模式図 (b) 60塩基DNAの濃縮と配列特異的分離

 

 

文献

(1)

Ito, T., Inoue, A., Sato, K., Hosokawa, K., and Maeda, M.: “Autonomous polymer loading and sample injection for microchip electrophoresis” Analytical Chemistry, 77, 4759-4764 (2005).

(2)

Ito, T., Inoue, A., Sato, K., Hosokawa, K., and Maeda, M.: "Affinity capillary electrophoresis in a poly(dimethylsiloxane)-glass hybrid microchip" Chem. Lett. 32, 688-689 (2003).


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