画像情報処理研究チーム, 光量子工学研究センター, 理化学研究所


外観検査アルゴリズムコンテスト2021の結果


ViEW2021ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子

2021年12月2日-3日にオンラインで開催されたViEW 2021にて、「X線CTによる工業製品の内部検査 ~ボクセルデータからの欠陥検出~」と題して、X線3次元画像を対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2021 (100件エントリー)の結果発表・表彰が行われました。本コンテストは、精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催 (共催: 理化学研究所 ボクセル情報処理システム研究チーム)で開催されたコンテストです。


本理研ボクセル賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、X線CTによる工業製品検査に有用であろうロバスト性を3種類の順位(アルコン委員会基準とは異なる基準:正常・欠陥部品の過・未検出率、各正答データの難易度を加味した順位:参加者全体の正解率の逆数で各データの点数を重み付けした順位、重み付け+参加者の全データに対する得点の分散で正解率を割った点数の順位)により採点しました。また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に中京大の輿水先生及び理化学研究所の2つの研究チーム合同で審査した結果を基に選考をしております。画像応用技術専門委員会の賞とボクセル賞は、それぞれ独立に審査しております。


受賞者の方々のオンライン発表. 上段:左から、 菅野氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ), 高平氏 (ファースト), 笹根氏. 下段:左から、水谷氏 (みずほR&T), 橋本氏 (みずほR&T), 中井氏 (静岡大).  


課題: 「X線CTによる工業製品の内部検査 ~ボクセルデータからの欠陥検出~」 (データ提供:理研 ボクセル情報処理システム研究チーム)

審査委員講評

  • 「菅野氏, ヴィスコ・テクノロジーズ」:提案法は、エッジ点群とその繋がり度合いを部品の切り分けと分類に用いることで、取り扱うデータ量の大幅な削減と高精度な抽出結果を同時に達成しており、非常に実用的な手法である。また、勾配交角の学習によるエッジ連結判定の仕組みは独創的であり、欠陥判定への応用など今後の発展が期待できる。欠陥判定は外形矩形領域の寸法とシンプルな評価基準ではあるが、本賞の全ての評価基準にて最も優秀な結果であり、高精度且つロバストな方法である。このように本作品は圧倒的な性能を発揮し、理研ボクセル大賞にふさわしい。
  • 「高平氏ら、ファースト」:提案法は、多視点画像による分類と距離ヒストグラムによる判別という昨年度のコンテストで優秀な結果を修めた別々の手法を上手く組み合わせて、欠陥部品認識への応用に成功している。既存法の単純な連結ではなく、結果が良い部分を巧みに採用しており、実用的な方法である。
  • 「水谷氏ら、みずほR&T」:提案法は、昨年度のコンテストで優秀な結果を修めた本研究著者の多視点画像による部品計数法を発展させて、欠陥認識への応用に成功している。昨年度の方法で各部品の形状特徴が精度良く表現されているため、体積等の簡単な閾値処理と組み合わせることで、欠陥判別でも有効な結果を得ている。
  • 「橋本氏ら、みずほR&T」:提案法は、3 次元点群同士の位置合わせを2 段階に分けて再帰的に行うことで、部品の切り出しを行う工夫がされている。また、ICP スコア及び点群の被覆率を定義して欠陥の判別に用いるなどユニークな方法で有効な結果を得ている。

  • 審査委員:
    • 輿水 大和 (理研, YYCソリューション, 中京大学)
    • 理研 ボクセル情報処理システム研究チーム: 田中 修平、中邨 博之、松林 穀
    • 理研 画像情報処理研究チーム: 横田 秀夫、吉澤 信、竹本 智子

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