画像情報処理研究チーム, 光量子工学研究領域, 理化学研究所


外観検査アルゴリズムコンテスト2019の結果


ViEW2019ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子

2019年12月5日-6日にパシフィコ横浜で開催されたViEW 2019にて、「X線CTによる工業製品の内部検査~ボクセルデータからの鋳巣抽出~」(データ提供:理化学研究所 ボクセル情報処理システム研究チーム)と題して、X線3次元画像を対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2019 (152件エントリー)の結果発表・及び優秀賞・ボクセル賞の表彰が行われました。本コンテストは、精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催で開催されたコンテストです。


本ボクセル賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、X線CTによる工業製品検査に有用であろうロバスト性を以下の方針・基準で採点しました。
  • 選定方針 (精密工学会の採点を元に)
    • 低精度(360枚撮影)と高精度(1550枚撮影)の両方で良い結果を得られる方法。
    • 適合率(precision)を重視: 重み付きF値F(β)のβに関してβ<=1を採用。
    • 抽出方法の工夫が他の高得点エントリの方法と比べて独自であること。
  • 採点方法:β=0.1, 0.2, 0.3, …, 0.9, 1.0 のそれぞれの値について、全データに対する重み付きF値F(β)の合計値を算出した。さらに、低精度(360枚撮影)と高精度(1550枚撮影)のデータに対するF(β)合計値のすべてのβについての平均・最小・中央値を求め、低精度での値と高精度での値の小さい方の値を評価した。
また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に中京大の輿水先生及び理化学研究所の2つの研究チーム合同で審査した結果を基に選考をしております。画像応用技術専門委員会の賞とボクセル賞は、それぞれ独立に審査しております。


受賞者の方々. 左から、 松下氏、永田氏、重信氏、橋本氏 (みずほ情報総研),鈴木氏 (エィ・ダブリュ・エンジニアリング), 辻氏 (徳島大) 

課題: 「X線CTによる工業製品の内部検査: ボクセルデータからの鋳巣抽出」(データ提供:理研 ボクセル情報処理システム研究チーム)

審査委員講評

  • 「松下氏ら、みずほ情報総研」:ボクセルデータを入力とするU-Netを用いた鋳巣領域抽出を正面から試み、特に分割アフィンワーピングによる水増し法の導入によりその精度向上に成功した。このように実装された手法の着想も性能も極めて優れており、現場から提供された鋳造品に対する品質評価と安全性評価に向けた画像AI技術のポテンシャルを実証している。本アルゴリズムはボクセル大賞に相応しい。
  • 「水谷氏ら、みずほ情報総研」:数あるDL方式に訴えた鋳巣領域の検出の試みの中でも、エンコーダ側にもupsample構造を付与した方法(SR-U-Net)によって鋳巣領域検出の高精度化を実証してみせた。この背景には鋳巣現象レベルへの深い洞察も垣間見れており、 DL手法の深化に勇気を与える意味で、本アルゴリズムはボクセル独創賞に相応しい。

  • 審査委員:
    • 輿水 大和 (中京大学, YYCソリューション)
    • 理研 ボクセル情報処理システム研究チーム: 田中 修平、中邨 博之、松林 穀
    • 理研 画像情報処理研究チーム: 横田 秀夫、吉澤 信、竹本 智子

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