研究紹介
生体内に数多く存在する金属タンパク質・酵素は、生体の物質・エネルギー代謝、恒常性維持など多くの重要な生理反応に関与しています。 X線結晶構造解析法・低温電子顕微鏡や各種分子分光法による分子構造解析とともに、生化学的な機能解析を駆使して 「金属タンパク質の触媒メカニズムや細胞内外の金属イオンの輸送タンパク質の 作動原理の解明」を目標に研究を行っています。
研究ターゲット
1. 金属タンパク質の解析
- 膜貫通型一酸化窒素還元酵素(NOR)の振動分光解析とX線結晶構造解析
- ビタミン・脂質・ホルモンなどの生理活性物質の生合成に関わるシトクロムP450の構造解析
2. 膜を介した金属イオンの感知と輸送機構の解析
- ヒト小腸での鉄分吸収に関与する鉄還元酵素Dcytbの構造・機能解析
- 病原菌のヘムトランスポーターの構造・機能解析
- 金属イオントランスポーターの構造・機能解析
3. タンパク質の機能構造解析のための新しい手法の開発と応用
- タンパク質の短寿命反応中間体の分光解析
- SACLAを利用した無損傷動的構造解析
最近のプレスリリース・トピックス
- 反応途中の酵素を観る新手法の開発 -光をあてて温度を変えるだけ!- プレスリリース (2023年1月11日)
- 敗血症や髄膜炎の薬剤開発に貢献する膜タンパク質の解析 プレスリリース (2022年6月28日)
- SACLAと時分割赤外分光法によるN2O産生の分子機構の解明 プレスリリース (2021年5月18日)
- 貧血予防の新たな指針へ向けて -ビタミンCが鉄分の吸収を促進するメカニズムを原子レベルで解明- プレスリリース (2018年8月20日)
- 病原菌における抗菌ガス分解酵素の新機能-キノール依存型NORは ATP合成につながる膜電位を形成する- プレスリリース (2018年2月27日)
- SACLAで酵素反応の可視化を実現-生体内で起こる化学反応を原子レベルで見る- プレスリリース (2017年11月17日)
- 合成酵素と分解酵素の協演-酵素タンパク質複合体の形成による効率的な連続化学反応- プレスリリース (2017年8月29日)
- 病原菌が鉄を細胞内に取り込む仕組み-細胞膜で働くヘム輸送体タンパク質の立体構造を解明 プレスリリース (2016年11月10日)
- 鉄と生物の化学を究める (RIKENニュース) -2012年8月号
- プロトンの通り道から呼吸酵素の起源にせまる --立体構造比較から呼吸酵素の分子進化を推測可能に-- (プレスリリース) -2012年1月23日
- 呼吸タンパク質の祖先 解明-- 朝日新聞(2010年12月17日朝刊)
- 呼吸のルーツを探る (RIKEN Research Highlights) 2011年4月15日
- 生体内で亜酸化窒素を生成する細菌由来の一酸化窒素還元酵素の立体構造「サイエンス誌に載った日本人研究者」 p75 (2010年度版)
- 温室効果ガス「亜酸化窒素」を発生させる酵素の立体構造を世界で初めて解明 --嫌気呼吸から酸素呼吸へと呼吸酵素が進化した手がかりを得る-- (プレスリリース) – 2010年11月26日
- 世界初の構造を解明 -- 微生物の環境適応センサータンパク質 (サイエンスニュース オンデマンド) – 2009年11月2日
- 微生物の環境適応センサータンパク質の構造を解明 -- 光、熱、酸素、ストレスなどの環境変化への応答機構を発見 (プレスリリース) 2009年10月14日
- ニトリル合成反応を触媒する新規な酵素の立体構造を解明 (SPring-8研究トピックス) 2009年11月6日
- Water-powered reactions (RIKEN Research Highlights) 26-Jun-2009
- Missing piece gets a work over (RIKEN Research Highlights) 16-Jan-2009
- 蛍光タンパク質「ドロンパ」のフォトクロミズムの分子機構を解明へ -- X線結晶構造解析と核磁気共鳴NMRを駆使し、ドロンパの動的構造を決定-- (プレスリリース) 2008年6月24日
- 抗がん剤インドロカルバゾールの骨組みを構築する酵素の立体構造を解明 -- 放線菌がインドロカルバゾールを創り出すメカニズムの一端が明らかに-- (プレスリリース) 2007年7月3日
- Core structures (RIKEN Research Highlights) 14-Sep-2007
- 発見から50年、酸素添加酵素「ジオキシゲナーゼ」の反応機構が明らかに (プレスリリース) 2006年2月14日
"From Japanese Scientists in Science 2010. Reprinted with permission from AAAS."