理研シンポジウム

GeV重イオンによる固体の構造・物性変化

開催日時:平成14年3月4日(月) 10:00−17:30

場 所:理化学研究所 仁科記念ホール

主 催:理化学研究所(原子物理研究室)


 固体中を通過する高速重イオンは高密度の電子励起を起こし、ときには物質の構造を大きく変えて直径数ナノメートル程度の永久的な損傷を残す。GeV程度の重いイオンがつくる損傷は、長さ数100マイクロメートルに達する。このようなきわめて細長い損傷は、他の方法では見られないような物性変化をもたらすことが知られている。理研リングサイクロトロンは、Biまでの重い元素のイオンをGeV以上のエネルギーまで加速できる国内で唯一の施設であるが、このような固体照射効果を研究するため、1996年に専用のビームラインを整備した。それ以来多くの研究グループが高温超伝導体、金属、磁性体など各種の固体試料を照射して、いろいろな測定手段を駆使して損傷過程や物性変化などの研究を行なっている。また最近では弾性波の観測を通じて重イオン照射のダイナミクスを見る研究も行なわれている。

本シンポジウムでは、リングサイクロトロンで過去5年にわたって行なわれてきた照射実験の成果を総括し、また今後の研究を展望する予定である。


3月4日(月)

10:00−12:30【座長:楢本 洋(原研)】

はじめに

神原 正 (理研)

酸化物超伝導体のGeV重イオン照射

寺澤倫孝、三田村徹(姫路工大工)

酸化物超伝導体のGeVイオン照射によるトラック生成と超伝導特性変化

石川法人 (原研)

Bi系酸化物超伝導体の重イオン照射による磁気緩和効果

池田 博 (筑波大)

高エネルギーイオン照射による強磁性合金材料の改質

小野文久 (岡山大理)

昼食(12:30−13:40)

 

13:40−15:40【座長:寺澤倫孝(姫路工大)】

高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2Oxの高エネルギー重イオン照射効果のLT-STS/STM法による研究

西田信彦 (東工大理)

GeVイオン照射した純鉄における原子変位と速度効果

知見康弘 (原研)

固体の照射効果研究におけるGeVイオン照射の重要性

岩瀬彰宏 (原研)

イオン照射による電子励起の役割

金子敏明、小原朋幸(岡山理大)

休憩(15:40−16:00)

16:00−17:30【座長:八木栄一(理研)】

イオン照射によるDNA2重鎖切断の質とその生物学的意味

谷田貝文夫 (理研)

理研RIビームファクトリー

谷畑勇夫 (理研)

イオン照射効果のダイナミクス

神原 正(理研)

 

18:00− 懇親会(広沢クラブ)

 


[問い合わせ先]

理化学研究所 原子物理研究室 神原 正

〒351−0198和光市広沢2−1

Tel.: 048-467-9485; Fax.: 048-462-4644