アンチセンス核酸やmRNAワクチンなど修飾核酸を本体とした医薬が新たなモダリティーとして確立しつつあります。こうした核酸を化学的に分析するニーズが増大している一方で、この領域の研究者・技術者間の情報交換の場は決して多くはないのが現状です。このような現状を踏まえ核酸関連物質の分析についての情報交換の場を提供することを目的として、核酸分析に焦点を当てた理研セミナーシリーズを行います。第4回目のセミナーでは、核酸分析の基盤となる2つのテーマについて話題提供いただきます。1つ目は定量分析の基盤となる国際単位系(SI)トレーサブルな核酸標準品の開発について産業技術総合研究所の藤井 紳一郎先生にお話しいただきます。2つ目として不純物の網羅的な分離・検出を目指す2次元クロマトグラフィーシステムの開発についてエーザイ株式会社の柿田 穣先生にご紹介いただきます。皆さんのご参加と活発なご議論を期待しています。
産総研では代謝物・ステロイドホルモンや、核酸、タンパク質・ペプチド等の様々な生体関連物質の物質量を規定するためのトレーサビリティ体系における高位の認証標準物質を開発・供給している。それらの標準物質を開発するに当たっては、計量学的にオーソライズされた精確な定量技術が必要であり、核酸(DNA・RNA)については、質量分析法を用いて定量を行った。開発した核酸認証標準物質は様々な核酸分析法の妥当性評価に用いることができる。
核酸医薬品候補化合物は立体制御を含め複雑化しており、理論的に想定される不純物は膨大な数になる。一つの試験法で全ての分離特性を得る事は難しい為、異なる分離モードを組み合わせた2次元HPLC(以下、2次元LC)及びMSを用いた評価法を開発した。本発表では不純物特性を様々な分離モードで評価した結果に加え、それらを加味した2次元LCの事例紹介と2次元LC+MSの3次元イメージ及び核酸を分析する上での利点と留意点について紹介する。
各講演共 講演30分+質疑応答10分
生命分子解析ユニット(担当: 中山 洋) knife@riken.jp