アンチセンス核酸やmRNAワクチンなど修飾核酸を本体とした医薬が新たなモダリティーとして確立しつつあります。こうした核酸を化学的に分析するニーズが増大している一方で、この領域の研究者・技術者間の情報交換の場は決して多くはないのが現状です。このような現状を踏まえて核酸関連物質の分析の情報交換の場を提供することを目的として、核酸分析に焦点を当てた理研セミナーシリーズを行います。第1回のセミナーでは、核酸医薬品の定量をテーマにアカデミアと産業界の第一線でご活躍の講師の方に最新の知見をご紹介いただきます。皆さんのご参加と活発なご議論を期待しています。
核酸医薬品は難治性遺伝性疾患の治療に対する革新的な新規医薬品モダリティーとして国内外で研究開発が盛んに行われている。本セミナーでは我々が開発した質量分析計を利用した生体試料中の核酸医薬品の定量法について紹介する。また、弊所で近年開発している高分解能型質量分析計による核酸医薬品の代謝物・類縁物質の網羅的同定手法についても発表を行う。
現在までに15化合物の核酸医薬品が承認されたが、この約半数がこの3年以内の承認である。また、核酸医薬品からもブロックバスターが誕生しており、核酸医薬品への注目が高まっている。しかし、LC-MSを用いたバイオアナリシスにおけるメソッド構築は難航することが多い。これは核酸医薬品が持つ高水溶性や金属へ吸着しやすい等の特徴に加え、ヌクレアーゼ耐性やDDSのために施された様々な修飾に起因すると考えられる。今回はLC-MSを用いた核酸医薬品のバイオアナリシスにおける弊社での最近の取り組みを紹介させていただく。本内容が各バイオアナリストが抱えている課題解消のヒントになれば幸いである。
各講演共 講演30分+質疑応答10分
生命分子解析ユニット(担当: 中山 洋) knife@riken.jp